第九幕その六
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「誰が相手でもじっくりとお話すればいいです」
「それで相互理解が出来ますね」
「多くの場合はそうです」
それで済むというのです。
「ですから僕も今回もそうしました」
「成程」
「理性は蛮性に勝ちます」
先生は穏やかな笑顔でこう述べました。
「そして僕は人種論もです」
「それもですね」
「はい、信じていません」
これもだというのです。
「人は人種によって違いがあるかといいますと」
「違いはありませんね」
「はい、ありません」
「先生は白人ですが」
「あっ、白人至上主義ですね」
「それはありませんね」
「全く」
ないと答えた先生でした。
「むしろ何処に人種の優劣があるのか」
「科学的には何の根拠もありませんね」
「本当に何も」
ないと言う先生でした。
「ありません」
「人種とは何か」
「所詮肌や目の色だけで」
「他は何も変わりませんね」
「そのこともよくわかります、色々な人とお話していますと」
「それは私もです」
加藤さんもでした。
「白人も黒人もです」
「変わらないですね」
「日本人といっても」
その加藤さんにしてもというのです。
「同じです」
「他の人達とですね」
「人種や国籍では人は決まらないです」
「全く以てその通りです」
「先生もそれは同じですね」
「これまで世界中を彼等と一緒に旅をしてきまして」
ここで先生は動物達を見るのでした、先生にとって掛け替えのない友人達であり家族でもある彼等をです。
「そうしてわかりました」
「人は人種や国籍では決まらない」
「もっと言えばです」
「もっと言えばとは?」
「人も他の動物も同じです」
そうでもあるというのです。
「同じ生物ですよ」
「違いはありませんか」
「少し私の宗教の教えとは違いますが」
「キリスト教の教えとはですね」
「はい」
先生はイギリスで生まれ育っています、ですがらキリスト教徒なのです。
「キリスト教では人間と動物は完全に違うと教えていますが」
「実際は、ですね」
「変わりがありません」
人間も動物も、というのです。
「何ら」
「そうしたものですね」
「僕も信仰心はありますが」
それでもというのです。
「そうした考えです」
「人間も動物も同じですね」
「はい、何も変わりません」
それも全く、というのです。
「こうした考えは日本にある様ですが」
「そうですね、それは」
「ありますね」
「はい、あります」
そうだとです、加藤さんは先生に笑顔で答えました。
「実際に」
「シャーマニズムといいますか」
「万物への信仰ですね」
「あらゆるものに神がいるのですね」
「そうです、だからこその八百万です」
それだけ多くの神様達がいると
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