第五章
[8]前話 [2]次話
第五章
「御願いします」
「俺でいいんですね」
「そうですけれど」
問い返す剛士にだ。また答える英梨だった。
「駄目でしょうか」
「えっ、いえ」
戸惑いながらもだ。剛士は応えた。
そのうえでだ。喜びのあまりだ。
叫びそうになった。それから暴れそうになった。しかしだ。
周りからだ。友人達が来てだ。両側と後ろから羽交い絞めにしたのだった。
その彼等にだ。剛士は言うのだった。
「何するんだよ」
「だから暴れるなって言っただろ」
「全く。予想通りの行動取りやがって」
「店の中だろ」
こう返す彼等だった。
「ったくよ、とにかくよかったよな」
「ハッピーエンドになったじゃねえか」
「そのことを喜べよ」
「何か嘘みたいだな」
思わずこんなことも言う剛士だった。
「俺ってよ」
「まあ話は後だ」
「あの、とりあえずですね」
「こいつとはそういうことでいいんですね」
「はい」
剛士の友人達にもだ。英梨はにこやかに答えた。
そのうえでだ。彼女は彼等に述べた。
「私は好きですから」
「ですね。じゃあ今日はこれで」
「こいつ連れて帰りますんで」
「そういうことで」
こうしてだ。剛士を強引に店の外に連れ出してだ。駅まで連行していく。そして駅のホームでだ。彼を解放した。解放された彼はすぐに怒って言いだした。
「何でだよ、何でいきなり羽交い絞めにしたんだよ」
「あのままだったら暴れたからだよ」
「それで全部おじゃんにするつもりかよ」
「御前馬鹿だろ」
これは彼等の全員がわかっていることだった。内心で思っていることだ。
そのことを言ってであった。彼等は剛士に再び話す。
「あそこで暴れたら交際どころじゃなかったんだよ」
「全く、本当に予想通りだったよ」
「すぐに動ける様に用心しておいてよかったよ」
こんな話をしてだった。彼等はだ。
「御蔭で台無しにしなくて済んだよ」
「何処まで馬鹿なんだよ」
「ったくよ」
「まあとにかくだよ」
ここまで話してだった。彼等はだ。
笑顔になってだ。こう剛士に言った。
「よかったな」
「あの娘いいって言ったな」
「確かにな」
「ああ」
そのことにはだ。剛士もそのまま頷いた。
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「まさかと思ったけれどな。けれどな」
「けれど。何だ?」
「何かあるか?」
「いや、御前等の口調って」
その口調についてだ。彼は問うのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ