第六章 正義の在り処編
第百八十話 『幕間 ミゼ・フローリアンの出世街道』
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聖杯大戦が終わってから私は言峰綺礼の一味だったとして知っている内容はすべて告白した。
それも微々たるものでしかなかったけどね。
刑務所で暮らす半年の間に私はシホさんに何度も手紙を送った。
内容は色々であったけど、主にこれからの私に人生についてこう、悪い言い方をすればシホさんも利用していたという後ろめたい気持ちもあった。
だって、シホさんに魔術を習いたいと何度も手紙を送ったのだから。
ディルムッド様の言葉通りに私は人生前向きに考えて歩く速度ででもいい、けど少しずつでもいいから進んでいこうと思ったから。
そのためには私の唯一の取り柄である魔術は私を上のランクに上げてくれるには一番手っ取り早いと思った。
だからシホさんに師事をした。
それでシホさんは嫌な顔もせずに私が収監されている施設まで足を運んでくれて何度も魔術のイロハについて一から教えてくれた。
聞くにシホさんも昔は人に教えるなんて奢がましいと思うくらいに魔術師としてはてんでダメだったらしい。
その話を聞いて、率直な感想を私は言った。
「それって、冗談なの……?」
と。
でも、シホさんの過去の話を聞いていくうちにその話が事実だということを悟る。
そして改めて知る。
シホさんの異常性を。
元は男性だったという事実も相当にすごいものだけど、それ以上にこの世界に来る前までやってきた事を聞くとそんな些細なことなんて頭から過ぎていってしまう。
それはやはり聖杯戦争というものがきっかけで入った魔術の世界。
それから私の想像をはるかに凌駕するほどの経験をシホさんは繰り返していって、今の実力のシホさんにまで上り詰めたわけだ。
それを聞いて、私はまだまだ舐めていたな……と思った。
そしてそれくらい努力すれば才能がなくても強くなれるのだと思わせてくれた。
シホさんはある意味体現者なのだ。
戦闘者としては恵まれなかった体ながらも一生懸命努力をして未来の自分と戦えるくらいにまで強くなり、あの黄金のサーヴァントともやりあったという。
聞くたびにすごい!と思うことしばしば。
そんな中、シホさんは語る。
「ミゼさんには私みたいになれとは言いません。むしろなってほしくないです。私がたどってきた道は茨の道でしたから。真似するだけ人生を無駄にします」
「そんなことっ……!」
なんとか言い返そうとするが、そのシホさんの真剣な表情に言葉を詰まらせてしまった。
今思えばそこですでに私はディルムッド様との約束を無駄にすることろだったのだ。
言葉を詰まらせた時点でまだまだ私には覚悟が足りないのだということだから。
だから少し考えて言葉を発した。
「……確かに、シホさんのような人生を送ることは私にはおそらく無理だと思うわね」
「そうです。ですから……」
「だけど、それでも
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