第2章 秘密の恋人
2-2 デート
デート
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をとがらせた。
ケンジは声を潜めた。「お、俺たちが秘密の関係だって事、ばれたらどうするんだ」
「兄妹だから平気だよ」
「いや、お、俺はあんまり平気じゃない……」
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二人はハンバーガーショップの隣にあるステーキ店に入った。
「ランチ、800円だって」
マユミがテーブルに置かれたランチメニューを見ながら言った。
「俺、これにする。サイコロステーキ・ランチ」ケンジは指さした。
「あたしハンバーグステーキ・ランチ」
そして水の入ったグラスに手をかけた。
窓から表を眺めていたケンジが言った。「こうやって見るとさ、マユ」
「うん」マユミもアーケードの通りに目をやった。
「カップル、意外に多いよな」
「そうだね」
「俺たちみたいに、兄妹のカップルもいるのかな」
「見た目ではわからないね」
「手を繋いでたりするのは、明らかに恋人同士、だろ」
「兄妹だって不自然には見えないと思うけどな」
ケンジはにこにこ笑うマユミの顔を見た。「マユ、おまえって、大胆だな、そういうとこ」
マユミもケンジの顔を見た。「そうかな」
「ケン兄は、手を繋ぐのはアウトなんだね?」
「う、うん。人前では……」
「腕を組むのは?」
「それもちょっと……」
マユミは面白くなさそうな顔をした。「つまんない……」
ケンジは少し慌てたように言った。「そ、そうだな、おまえの肩を抱くぐらいなら……いいかな」
マユミはにっこりと笑った。「嬉しい。やってやって、食事の後」
「だ、だけど、あんまり身体を密着させないでくれよ」
「ケン兄、ほんとにシャイなんだから」
ほんのり頬を赤らめた兄を見てマユミは笑った。
食事が済み、通りに出た二人の背後から声がした。
「ケンジ!」
ケンジとマユミは同時に振り向いた。ケンジはとっさにマユミの肩に乗せていた手を離した。
「あ、ケニー」
すらりとした体つき、ブロンドの短い髪、そして淡い碧眼をくりくりさせて、その青年は二人に近づいた。
「なんや、ケンジ、つき合うてる彼女、おったんか」
ケンジの隣でぽかんと口を開けたままその外国人を見ていたマユミは、ようやく小さな声で言った。「だ、誰なの? ケン兄」
「ああ、こいつは今、俺の高校に部活留学生として来ているケニー。ケネス・シンプソン」
「よろしゅうに」ケネスは笑いながらマユミに手を差し出した。
マユミは、恐る恐るその手を握り返した。その白い手は温かくて柔らかな感触だった。
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「期待を裏切って悪いけど、ケニー、こいつは俺の妹だ」
「へ? 妹?」
「そうだ」
「そうやったんか、これがおまえがいつも話しとった双子の妹マユミはんか」
ケネスはマユミの身体を頭からつ
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