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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
37.宴と始まり
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むく夏音はとてつもなく可愛かった。
今すぐにでもその身体を抱きしめたいほどだ。
「それじゃあ帰るか」
「はい」
彩斗と夏音はわずかに緊張感を残したまま帰路につく。学校の話題やスイーツの話題などいろいろと夏音と話すが話題が尽きることはなかった。
「夏音は今日の晩御飯なにがいい?」
「そうですね。ハンバーグが食べたい、でした」
「了解だ。それならスーパーで食材買わねぇとな」
その瞬間だった。彩斗はわずかな違和感に足を止めた。
「彩斗さん?」
夏音が急に立ち止まった彩斗に疑問の声をあげる。
この違和感ははっきりいえば、古城たちと買い出しに行っているときから感じてはいた。しかし、雪菜も友妃も第四真祖の古城でさえもなにも感じていなかったようなので彩斗の勘違いだと思っていた。
だが、夏音と会ってからその違和感は徐々に鮮明になっていった。それは彩斗に存在をわざとしらしめているようにも思えずっと気にはなっていた。しかし、今回の気配で見逃すことはできなくなった。
強大な魔力の波動。それも濃密にして、隠密な魔力だ。それほど繊細な魔力を出せる人物がただ者なわけがない。
そいつの狙いが彩斗ではなく夏音だとするならなおさら見逃すわけにはいかない。
「悪い。ちょっと学校に忘れ物したから先に食材買いに行っててくれ」
「それなら私も一緒に行きます」
「いや、学校に戻るなら古城たちに作業手伝わされるかもしれないから先に行っててくれ。夕飯には絶対戻るから」
彩斗は自分の財布を夏音へと渡し走り出す。
いい忘れたように彩斗は振り返る。
「スーパーで食材買ったら寄り道せずにモノレールで帰れよ!」
彩斗は自らの唇を噛む。わずかな血が喉の渇きを潤し、吸血鬼の能力を解放する。夜の漆黒に感覚が研ぎ澄まされていく。
謎の違和感の中にわずかに感じたことのある気配を感じとる。その気配は、夏音の日常生活に干渉することなく、陰で密かに護衛の任についているユスティナ・カタヤだ。彼女が護衛についていることがわかれば彩斗は安心できる。
彩斗は夏音が見えなくなるところまで走って誰かに語りかけるように小さくつぶやく。
「……場所を変えるぞ」
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