第2話 差し入れとケンカ
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結局は何もおこらずに、カミトが住んでいる馬小屋の横に新しくつくられた小屋の前まできて、カミトが食事の香りにつられているのを待っている。
ここまで、リンスレットが持ってきていて、キャロルは持たされもしない。たぶん、こぼしてしまうのは確実で、3人とも頭からスープをかぶらされる危険性もあるからだ。
そうなったときになんで、よけれないのかは、謎だ。
カミトがスープのお椀に手を伸ばそうとしたら、すばやくお椀を引き離す。それをもう1回行ったら、カミトも気がついたのか、
「えーっと、なんのつもりだ?」
「ふ、おなかが空いているのでしょう? カゼハヤ・カミト」
「ああ」
カミトが素直にうなずいたので
「わん、と鳴いてわたくしの奴隷になると誓えば、このスープをさしあげますわ」
「断る。じゃあな」
パタンッとドアが閉められたが、当たり前だよな。リンスレットが次の行動に移る前に、
「この小屋の中に入れさせてもらって、キャロルが作りすぎたからあまらせたからもったいないとでも言って、部屋にでも置いて帰っていったらどう? リンスレットが行わないなら、あたし一人でも入らせてもらいますわ」
「って、ちょっと、エルダ。まさか、ぬけがけする気?」
「だから、奴隷じゃなくて、チームメイトとしてでるならってことよ。潜在能力は高いのでしょうけど、あの剣精霊を使いこなせるかどうかは、見てみないとわからないから」
「ふー。まったく、貴女らしいわね……いーわよ。私も部屋の中には興味があるから」
そう言って、ドアを開けてもらって入らせてもらったが、中は田舎の家畜小屋だな。
多少は、「私の奴隷にならない」「なる気はない」「クレア・ルージュには尻尾をふったくせに」「俺がいつあいつに尻尾をふったんだ?」とかと問答があったところで、持っていたスープが入ったお椀を床の上に置いて、
「スープはここにおいておきますわ。もともとキャロルが作りすぎてしまったものですし、あまらせるのももったいないですし。わたしの慈悲に感謝しなさい」
って、リンスレットが部屋をでていこうとするがカミトが動かねえ。
しかたがないか。
「それは、リンスレット自身が作った食事ですわ。少なくとも私は、美味しくいただかせていますわよ」
「これ、なんてことを」
「今日、作ったのは確かでしょ?」
毎日作っているっていうのも、メイドをつれてきている手前言うわけにはいかないだろうし。
「あー、そのー、リンスレット」
「なんですのっ、急に名前を呼んで――」
「あんたの下僕にはなれないけど、友人になら……なってもいいぞ」
「え?」
「本当は心配で見にきてくれたんだろ。ありがとな」
「よかったね、リンスレ
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