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アッシュビーの再来?
第4話、亡命者達
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ミはすぐに飛びつくでしょう。それにあくまでも後見人は私です。得られるメリットに比べれば、閣下のデメリットは児戯のようなものでしょう」

 ホーランドは少し黙ってから協力を表明した。

「貴官がそこまで言うなら協力しよう。なーに、統合作戦本部に対する私の影響力を図る試金石みたないなものだ。やれるだけのことはやると約束しよう」

「ありがとうございます、閣下」

 ホーランドの言質を取り付けたラデツキーは、ティアマトの英雄の名を使って軍のあちらこちらに根回しを始めた。国防委員長には一言だけ伝えた。それだけでも国防委員長のお気に入りホーランドとラデツキーの行動は、国防委員長派に妨害されなくなる。

 だが、国防委員長本人の力を借り過ぎると反国防委員長派の妨害が強くなり、ただでさえ慎重を扱いを要する亡命者達は政争の源になってしまう。そうなれば艦隊などとても任せて貰えないだろう。


 そのような状況を考慮したラデツキーは、思い切って正面からシトレ元帥の協力を取り付ける道を選んだ。

「元帥閣下、お久しぶりです。お時間を作って頂き感謝いたします」

 作戦本部長シトレ元帥との面会は驚くほど簡単にかなった。おそらくホーランド艦隊司令官でもこうも簡単に面会出来ないはずだ。

「別に構わんよ。貴官がいなければ我が軍は丸々一個艦隊を勘定から外しているところだ。多少の融通をきかしても文句は出ないだろう」
「恐れ入りますます」

「それでティアマトの英雄は息災かね」
「はっ。最近は国防委員長とゴルフ場をまわる機会が増えております」

「艦隊司令部に居座られるよりは貴官も平和で良かろう」
「いえ、そのようなことは決して……」

「ハハ、ないか。それで私に用件があるとか?」
「帝国からの亡命者のことです」

「ほう? そういえば最近、ホーランド提督がティアマトで矛を交えた亡命者の消息を探っていると聞いた。提督に伝えたまえ、彼らはもう同盟の市民なのだ。敵愾心を棄て和解すべきだと」
「閣下。まずこの件はホーランド提督に助力こそ求めましたが、あくまでも小官個人の希望であります」

「貴官個人の考え? ホーランド提督を庇うにしても、もう少しましな嘘をつくべきではないか?」
「閣下。閣下こそホーランド提督に妙な敵愾心をお持ちのようで残念でありません。どうか小官の話を冷静に聞いて下さい。小官はホーランド提督の許可を得た上で、亡命者達を同盟軍の提督として迎え入れるようお願いしにきたのです」

「亡命者を我が軍の提督にするだと? 二人はハイネセンの郊外で安らかに過ごして貰うつもりだ」
「閣下。情報部は大貴族の一族を殺害して逃げてきた二人を信用できると判断したと聞いております」

「……どうやら我が軍の機密情報は簡単に部外者に漏れるようだな」

 ラデツキーはマスコミの力をホーランドの近くで少しばか
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