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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十七 結末
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っているのか。
それは霞がかかったように曇るナルの眼では判断出来なかった。
「…――ごめんな、ナル」


申し訳なさそうに眉を下げるアマル。今にも泣くのを堪えるように、しかしながら彼女は無慈悲に言い渡した。
「でもオレは…『神サマ』に会う為なら、」












毒の霧が完全に晴れる。
その頃にはとうに、大蛇丸もカブトもシンも、そしてアマルもその身を消していた。

彼らがいた場所を呆然と見つめていたナルは、未だ伸ばしていた手をゆっくりと下ろす。
荒野に吹き荒ぶ乾いた風が彼女の震える指先を撫でていった。

かつて一緒に祭りを楽しみ、仲良く語り合った友はもういない。
去り際にアマルが告げた一言は、ナルの心に酷い傷を残していった。

未だ聞こえる祭囃子。
アマルと初めて出会った楽しい記憶であるはずのそれは、最後のアマルの一言で一変した。
ガンガンと鳴り響く耳鳴りは、アマルの声を何度も何度も繰り返す。

荒れ狂う風の中、ナルは声なき慟哭をあげた。
耳にこだまする友の、いっそ残酷なまでの宣告に。



「ナルの…敵になるよ」













以前大蛇丸とカブトが秘かに交わしたやり取り。
その際、大蛇丸が口にした「あの子が来るまでの辛抱よ」の『あの子』とは、シンを示している。
そして彼こそが、アマルを大蛇丸の下に引き摺りこんだ張本人。

まずは宿の猫。シュウと呼ばれた飼い猫そっくりに化けたシンはナル及び自来也を見張っていた。その際、大蛇丸が捜し求める綱手に気づき、彼に報告。
結果、シンの密告を受けた大蛇丸はすぐさまカブトを引き連れてこの街に向かったのである。

一方、猫に扮し、波風ナルに近づいたシンだが、忍犬であるパックンが介入することで容易に近づけなくなっていた。匂いでバレる可能性があるからだ。
猫は総じて犬に弱い生き物である。故に、猫に化けていたシンは波風ナルの許で情報収集が出来なくなった。
そこで宿の猫に変化したまま遠目で隙を窺い、大蛇丸と綱手の交渉前夜に、子豚のトントンとパックンに睡眠薬を嗅がせる。
そしてシン本人はトントンに化けると、アマルの病室に忍び込み、大蛇丸の下へ引き込んだのである。
ちなみに、病院でナルがシズネと会った後、医者と看護師が慌ただしかったのは、アマルの不在によるものだ。

パックンの存在はナル達に良い結果をもたらした。大蛇丸の部下に情報漏洩する危機を救ったのである。
だが一方で、その好結果がアマルに裏切り行為を導いたのだ。



同じ屋根の下で共に語り合ったアマルとナル。
あの時、アマルがナルに『神サマ』の名を告げていれば、このような結末ではなかっただろう。
ナルがアマルの前で『う
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