七十七 結末
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ので、無茶な修行ばかりする彼女の傍になるべくいたのだ。
それが思いがけぬ結果を生むとも知らず。
刹那、ズシンッと地鳴りが轟く。
朦々と立ち込める砂煙を、大蛇丸は振り仰いだ。己の大蛇を倒した自来也を視界に入れ、ふっと口角を吊り上げる。
「カブト」
名を呼ばれたカブトがシンに目配せする。地に叩きつけられた蛇の尾を見て、シンもまた大蛇丸の意思を酌んで、軽く頷きを返した。
大蛇の口を抉じ開けて出て来た自来也。蛇を内側から倒した師の姿を見て、ナルが顔を輝かせた。急ぎ自来也の許へ向かう。
その様子をアマルはじっと見つめていた。シンが傍に来る直前までナルに目線を投げていた彼女は、一瞬戸惑う素振りを見せる。
けれどシンに促された彼女は、己の名を呼ぶ綱手とシズネの声を振り切って、踵を返した。
ねっとりとした視線を受けながらも、大蛇丸の傍らに佇むアマルの姿にナルが息を呑む。
驚きのあまり何も言えず、口をぱくぱく開閉するナルの隣で、自来也は顔を顰めた。
大蛇が地面に倒れた衝撃で肋骨が何本か折れたらしい。激痛を押し殺し、思うように動かぬ身体を無理に立たせる。
倒れた大蛇が白煙と化すのを尻目に、自来也はナル達を庇うように大蛇丸と対峙した。
しかしながら自来也の不調を大蛇丸は即座に見抜いた。痺れ薬で思うように動かぬ己の身を顧みる。
元々動かぬ両腕の件を考えてもこちらの状況のほうが不利だ。綱手が交渉に乗らないとわかった今や、この場に留まっても何の意味もない。
瞬時にそう判断し、大蛇丸は口許に弧を描いた。余裕を装い、切れ長の瞳を細める。
そして綱手と顔を合わせると、どこか含みのある物言いで彼は嗤ってみせた。
「綱手…お前に治してもらわなくとも私には一つだけ方法があるのよ」
そう伝えるや否や、地面にずぶずぶ沈みゆく大蛇丸。主人の隣にいたカブトもまた、その場の面々の顔触れを見渡すと口許に不敵な笑みを浮かべた。
大蛇丸の『方法』という語にぴくりと反応したアマルに気づかないふりをして。
「…またいずれ――――」
俯き様にちらりと一瞥を投げる。
眼鏡の奥にて垣間見えるカブトの瞳は確かに、アマルの行動に狼狽するナルを捉えていた。
掻き消えたカブトに続こうとするシンとアマル。
愕然としていたナルの足が無意識に動く。自身と変わらぬ背丈。揺れる赤い髪が酷く遠くに見え、手を伸ばす。
「…ッ、待ってってば…っ!」
カラカラに渇いた唇から声を振り絞って、友の名を叫ぶ。視界を踊る赤い髪を掴もうと、必死に手を伸ばす。
「アマル………ッ!!」
だがアマルの髪は無情にもナルの手をすり抜けた。燃えるような赤がナルの指先を一瞬掠める。
肩越しに振り返ったアマルが最後に見せた顔。泣いているのか笑
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