七十七 結末
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次に生き返った時、瞳に映るのは、あのキラキラと輝く黄金の髪じゃないかと。
また自分を死から救いあげてくれるのは、他でもない『神サマ』じゃないかと。
だが、その期待は裏切られる。
息を吹き返した刹那、アマルは死にたくなった。
自分の危機には来てくれるのではないか、と心の片隅で願っていたのに。
命が消えかける寸前に現れてくれるのではないか、と待望していたのに。
やはり待っていても駄目なのだ。自分から会いに行かないと。
ベットで安静にしている間、そう決意を固めていたアマルの考えに拍車をかけたのは皮肉にも綱手の言葉だった。
アマルが寝ているものと思い、彼女の病室前で話していた綱手とシズネ。
彼女達の会話に耳を澄ませていたアマルは、最後に綱手が呟いた一言に心を動かされた。
『…―――私以上の医療忍者がいなければの話だけどね』
アマルの知る限り、そのような要件に該当する者はただ一人しかいない。
己の病を治し、そして今現在、待ち焦がれるヒト。
腕を治そうと躍起になっているらしい大蛇丸という人物が綱手に断られた場合、遅かれ早かれ、『神サマ』を捜すかもしれない。その時、自分が大蛇丸の近くにいれば、『神サマ』に会えるかもしれない。
綱手とシズネの話を聞いてアマルが抱いた感想は、自分を殺そうとした大蛇丸への恐怖ではなく、如何にして彼に近づくか、であった。
以上の思考に陥ったアマルの許へ来たのが、大蛇丸の部下であるシン。ある意味絶好のタイミングで現れた彼に、千載一遇のチャンスだとアマルは飛び付いた。
彼女がシンの口車に乗ったのには、こういった事情があったのである。
アマルは師を、姉弟子を、友を捨て。
……―――――蛇の手を取ったのだ。
ひとえに、『神サマ』に会いたいが為に。
「忍犬くん。君の存在は実に厄介だったよ。さっさと飼い主の許へ帰ればよかったものを…」
〈残念だったな。ワシが受けた命は『自来也もしくは綱手を里へ急ぎ連れ帰る事』。ただの伝達役ではないんだよ〉
シンと名乗った青年の挑発には乗らず、パックンがふんと鼻を小さく鳴らす。
不穏な空気を醸し出すシンとパックンを、はらはらとナルは交互に見やった。
主人である畑カカシが忍犬パックンに命じた内容。
それは志村ダンゾウが火影に就くという危急を知らせる事ではない。その凶報故に、自来也か綱手を木ノ葉の里へ連れ戻すよう説得する事がパックンの受けた任務だったのだ。
おかげで自来也にはあらぬ疑いを掛けられたが、忍犬にとって主人の命令は絶対。
パックンは己に課せられた使命を成し遂げようとしていただけだったのである。
またパックン自身、カカシの教え子である波風ナルを気に掛けていた
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