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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十七 結末
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一時、止んだ。

「嘘だって言ってくれってばよ…―――なぁ!アマル!!」


アマルは答えない。応えてくれない。
再度口を開こうとしたナルを、大きな手がさっと制した。邪魔をされ、咄嗟に咎める視線を向けたナルは、相手の毅然とした顔を見ると、次第に落ち着きを取り戻した。

手の持ち主はナルの隣で黙していた自来也。縋るようなナルの目から顔を背け、自来也はわざと大蛇丸を挑発した。

「大蛇丸…お前が何を企んでおるのか知らんが、無事に此処から逃げおおせるとでも思っとるのか?」
ふざけた物言いでありながら的確な判断。師の冷静な指摘で、ナルはハッとした。

仮にアマルが大蛇丸の部下だったとしても、今この場で大蛇丸を倒せば主人を失う。そうすればアマルは……――――。

動揺に揺れていた青い瞳が光を取り戻す。急にやる気を出したナルと自来也に視線をやって、「何を言うかと思えば…」と大蛇丸は鼻で笑った。

「自来也、お前こそ今此処で死ぬかもしれなくてよ。過信も大概にすることね」
「過信ではなく、確信だのぅ……。まだ気づいておらんようだな、大蛇丸」
「なに、を……っ!?」


突然、ガクリと膝が落ちる。

いきなり体勢を崩した大蛇丸を、慌ててカブトが支えた。
両腕の激痛だけではない。身体全体から来る震えに、大蛇丸は眉根を寄せた。痺れる足を叱咤して、なんとか踏み止まる。脂汗を額に滲ませ、声を振り絞る。

「…何をした、自来也ァ……ッ!!」
「まさか、ただの不意打ちだとでも思っとったのか?」
自来也の言葉に大蛇丸はハッと顔を強張らせた。

綱手との交渉時。其処で大蛇丸は綱手の影に潜んでいた自来也から奇襲を受けた。その際掴まれた足が原因だと思い当る。
「綱手手製の痺れ薬だ。肌からじわじわ効くタイプでな」

その一例がシズネの現状だ。身の安全とは言え、綱手に痺れ薬を盛られた彼女は現在支えてもらってやっと立っていられる状態である。
もっともシズネに用いられた薬の効果は弱め。大蛇丸が盛られた痺れ薬はその十倍もの効果を持つ。大蛇丸と会う寸前、綱手が自来也に薬を手渡したのだ。

「ぐ…ッ」
力が抜けてゆく。とても立っていられなくなり、大蛇丸はずるずると地に膝をついた。
当初狼狽えたものの、カブトが冷静に大蛇丸の症状を診る。眉を顰め、眼鏡をくいっと押し上げた彼はちらりとアマルとトントンに視線を投げた。そしてやにわに自身が傷つけた腕の血を拭い、続けて大蛇丸の服袖を捲し上げる。

腕を這うようにして刻まれた蛇の紋様。其処に自らの血を一筋ひく。
「【口寄せの術】!!」


途端、二体の巨大な蛇がナル達の前に現れた。

鎌首をもたげ、巨大な口を開く。今にも呑み込まんとするそれらの猛攻をよけ、自来也は綱手とシズネを目
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