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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
死の弾丸
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人の脳裏にはまざまざと、そしてはっきりとした映像が浮かび上がっていた。
全身黒尽くめの、顔の見えない狙撃者が、虚空に向かって銃のトリガーを引く。
発射されるのは黒い幻影の弾丸。
それは仮想空間の壁を貫き、パケット飛び交うネットワークの世界に侵入する。ルータからルータ、サーバからサーバへと弾丸は何度も直角に曲がりながら突進する。
やがてそれは、あるアパートの一室、壁に設けられたLANコネクタで実体化し、横たわる男の心臓へと――――
寒気を感じたかのように、木綿季が二の腕をさする。正直、蓮も全く同じ気持ちだ。
不吉な想像を振り払うように頭を振り、木綿季は言葉を紡ぐ。
「そんなこと――――ありえるの?」
しかし、掠れたその声に即答したのは眼前の老人ではない。
「ありえる訳ないでしょ」
しっかりと、睨みつけているとでも取れそうな鋭い目つきで少年は老人を見つめる。
「ゲームはゲームだ。それはどんなMMOでも同じだよ」
「ならこれらの事例は偶然で片付けるのかね、レン君」
「シゲさんには悪いけど、ただの偶然だよ、これは。それ以上でも、それ以下でもない」
きっぱりと言い切った少年の顔は、それでも揺るがなかった。
しかしその横顔は、木綿季から言わせれば、そう信じたい、と言っている様だった。
信じて、そしてそうに違いないと、言っているような。
しかし、重國はそんな少年を許さない。
ある意味で止めでも刺すかのように、老人の言葉は脳にねじ込まれる。
「では君は、SAOの最期にヒースクリフ――――茅場晶彦に何をしたのか、そしてALOで顕現させた力の正体を、本当に正しく理解しているのかね?」
「……………ッ!」
ふぅ、と。
煙管を吸って、紫煙を吐く。
その一動作で、小日向蓮のものになりつつあった一室の空気が、完全に黒峰重國の手に落ちる。
蓮の脳裏には、否が応にも浮かび上がる。
SAOの最期。
茅場晶彦を殺すために、『喰う』ためにブチ切れた瞬間。
ALO。
マイを、アスナを、全部ひっくるめて守るために取り出した、一本の槍。
いずれも、人間を《踏み外した》瞬間だ。
未確認とはいえ、SAOでは茅場明彦という一人の人間を殺しているのだから。
仮想世界から現実世界へ干渉する方法は、決して確立されてはいないが存在しているのだ。
そしてその可能性がある限り、同じ領域に立った者として、小日向蓮という一人の人間はこの一連の事件を無視できない。
無視できないし、容認できない。
容認できなくて、許容できない。
蓮は心の中でこっそり舌を巻く。
まったく、やはりこの老人は油断できない。可能性を提示し
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