第二章
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第二章
「だからいいのよ」
「カルシウムですから」
「そう。カルシウムよ」
とにかくだ。碧はカルシウムの話をするのだった。
「だからいいのよ」
「骨を強くしてくれますしね」
「髪の毛にもいいしね」
「だからいいのよ」
それでだと言う碧だった。どうも心なし必死の顔でだ。
「毎日しっかり飲んでるわ」
「じゃあ毎日骨太なんかは」
「今は売り切れだったから飲んでないけれど」
それでだ。仕方ないという顔になって美幸に話す彼女だった。
「それでもあればね」
「飲まれてるんですね」
「そういうことよ。とにかくカルシウムよ」
熱心にそのカルシウムについて話す彼女だった。
「いいわね」
「わかりました」
そんな話をだ。食べながらしたのだった。そうしてだ。
美幸は毎日碧と共にいた。碧はとにかく学者としてはかなり見事だ。優秀な人材であることは間違いない。しかもそれに加えてだ。
人格円満である。穏やかで怒ったことは殆んどない。しかし常にである。何かを気にしているようにしてだ。それでいつも美幸に話すのだった。
「ううん、最近の女の子って」
「女の子ですか」
「皆靴が大きいのかしら」
こう言うのである。難しい顔でだ。
「お蔭で私の靴ってね」
「ないんですか?」
「これだけれど」
やけに高い黒いハイヒールをだ。美幸に見せて話すのだった。
「実は特別に注文したの」
「そうなんですか」
「そうなのよ。私に合う靴ってね」
それはだ。どうかというのだ。
「中々ないのよ」
「大変ですね、それって」
「合う靴って」
碧は困り果てた顔で話していく。
「子供の靴だから」
「ううん、教授足小さいんですね」
「足だけじゃないし」
また美幸に話す彼女だった。
「何もかもがね。特に」
「特に?」
「あっ、何でもないわ」
自分の言葉を自分で引っ込めて話す。妙に慌てた感じでだ。
「何でもないから」
「ううん、とにかく靴は」
「ないんですか」
「それが悩みなのよ」
また靴の話をするのだった。
「どうしたものかしらね」
「そうですね。特注って高いですしね」
「服もそうだし」
「服もなんですか」
「この白衣だってスカートもだけれど」
やたら長く見える白衣とだ。タイトだが膝が完全に隠れている黒のスカートもだというのだ。
「どっちもぎりぎりなのよ」
「着られるサイズで、ですか」
「服にも困ってるのよ。どうしたらいいのかしらね」
「大変ですね。何もかも」
「それもこれも」
感情が昂ぶってだ。そのうえでの今の碧の言葉だった。
「全部。結局は」
「結局は?」
「ああ、何でもないわ」
またこう言う碧だった。
「何でもないから。気にしないで」
「だったらいいで
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