第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』U
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・マグヌスも驚嘆する。当惑する。この『魔女狩りの王』を打ち消されたのは、何も今回が初めてではない。ホンの数日前にも、『幻想を殺す右腕』に敗れたばかりだ。
「クソ……クソッ! 違う、コイツは……コイツに、あんな理不尽なものはない! コイツは、アイツとは違って理詰めだ! 理解、出来るモノだ!」
だからこそ、浮き足立つ。敗北の思い出に、ぞくりと総毛立つ。必死に、今、『この先』に居る男を頭から打ち消して。
「ごちゃごちゃと────!」
その隙を見逃す程に、甘くはない。ゴモリが『魔女狩りの王』を抑えている間に決着を付けるべく、バルザイの偃月刀を携えて走る。
残念ながら、連発と『眷属招聘』により魔力が枯れており、『ヨグ=ソトースの時空掌握』は使えない。
しかし、一撃。一撃を与えれば、この祭具に潜む無窮の神の顎により勝負は決まる。
「灰は灰に────塵は塵に────吸血殺しの紅十字!!!」
「クソッタレ────!」
だからこそ、悪態を吐く。ステイルの呼び掛けに応じて、二本目の『炎剣』がその手に握られた事に。
虚空を貪る漆黒の祭具、対するは十字の聖火。どちらも、当たれば一撃必殺。ならば────二刀を持つステイルに分があるのは、誰が見ても明らかな事!
────さあ、選べ。プライドの為に命を捨てるか、命の為にプライドを捨てるか。簡単な二者択一だろう、この『クルーシュチャ方程式』は。
迷う必要など無い。たかだか、五十年程度の人生だ。そうだろう?
自らの思考の如く囁く、耳元の影。鋼じみた、硬質の軟体。可塑性を持つ、伸びやかなる、深紅の瞳の囁く通りだ。
だがらこそ、『月』が観ている。黄金に燃え立ちながら、純銀に凍て付きながら。彼の『選択』を、掴み取るモノを──────『諦めろ』と嘲笑う、『虚空の瞳』と共に。
「────圧し通ォォォォォる!」
叫ぶ。声高に、誇るように。気でも狂ったかのように、防御の意思などかなぐり捨てて。
祭具と握る右腕を、同化した刃金に換えて────微塵の迷い無く、真っ直ぐに前に伸ばす!
「バカが────燃え尽きろ!」
迫る二本の炎剣、十字を描く軌跡。交点に存在するのは────嚆矢の、生命ただ一つ!
『────是非も、無し……か。酔狂も、此処まで来れば才能か!』
頭の中、隠す事無く響いた『誰かの声』。しかし、気にしてなどいられない。目の前には確実な、厳然たる“死”が在るのだから。
そう、それでも。この右腕ならば掴み取れる。『確率』の|濫觴《らん
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