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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』U
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縛って堪える。

『てけり・り。てけり・り!』

 漏れ出す異界の根源(ヨグ=ソトース)が、その原形質(ショゴス)が虚空を歪める。
 始めに現れたのは金切り声、そして玉虫色の二重円に八芒星。その魔方陣が回転して球を為し、開花するように空間に形を為す────!

「来たれ────ヨグ=ソトースの十三の球体従者(御遣い)。汝が名は『ゴモリ』、金冠戴く駱駝(ラクダ)なり!」
『Woooooooooo……!』

 そして現れ出る、ヨグ=ソトースに仕える十三の怪物の()姿()()()()。泡まみれの油を吹く金の冠を戴いた駱駝の姿の、悍ましき玉虫色に煌めく虹鉄(こうてつ)機械仕掛けの虹鉄(デウス・エクス・マキナ)。並の人間ならば、噴煙を撒き散らすその姿を目にしただけで心が凍る。噴煙と共に撒き散らされるその声を聞いただけで、脳細胞が死滅しよう。
 先程、携帯で読み耽った中にあったもの。それが、『ヨグ=ソトースの球体』だ。副魔王の従者、その意を体現すべく遣わされるもの。だからこその、『御遣い』、か。

「ほう、召喚か……見たところ、、『ソロモンの小鍵(レメゲトン)』の摸倣かな? 機械仕掛けとは、また賢しい真似をするね」

 だがステイルは、それにすらも僅かに眉を動かした程度。既に見抜いているのだろう、この『ゴモリ』には、戦闘力等はない事は。
 何と有れば、『魔女狩りの王(イノケンティウス)』の腕の一振りで粉砕できる。そんなモノだ、この『ゴモリ』は。

「ああ……そうだな。全部、全部。俺のは真似事さ。空しい事に、愉しい事に」

 それを、嘲笑する。賢しい話だ、とばかりに。

「だから、コイツを呼んだんだよ。アンタに、勝つ為にな」
「僕に勝つ為……だと?」

 初めて、魔女狩りがこちらの真意を図りかねる。年不相応、まるで、年下の少年の如く。
 だが、思うところはない。目の前に居るのはただ、倒すべき仇!

「さぁ、ゴモリよ。『護符の識者』よ。汝が紐解くは、()の術式────神刻文字(ルーン)なり」
『Woooooooooo……!』

 讃えるように、蔑むように。駱駝は、虚ろに輝く胡乱な眼差しを『魔女狩りの王(イノケンティウス)』に向ける。
 そう、この従者こそは『護符の識者』。あらゆる『護符』の意味を知る者。則ち、それは────

立 ち 消 え よ(H N I)立 ち 消 え よ(H N I)立 ち 消 え よ(H N I)!』
「な────!?」

 断末魔の絶叫の如き咆哮。油混じりの泡を飛ばされた寸暇、『魔女狩りの王(イノケンティウス)』が崩壊を始める。『消沈』の三大ルーンを刻まれ、術式をも鎮静化させられたか。
 さしものステイル
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