第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』U
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
縛って堪える。
『てけり・り。てけり・り!』
漏れ出す異界の根源が、その原形質が虚空を歪める。
始めに現れたのは金切り声、そして玉虫色の二重円に八芒星。その魔方陣が回転して球を為し、開花するように空間に形を為す────!
「来たれ────ヨグ=ソトースの十三の球体従者。汝が名は『ゴモリ』、金冠戴く駱駝なり!」
『Woooooooooo……!』
そして現れ出る、ヨグ=ソトースに仕える十三の怪物の似姿の一つ。泡まみれの油を吹く金の冠を戴いた駱駝の姿の、悍ましき玉虫色に煌めく虹鉄、機械仕掛けの虹鉄。並の人間ならば、噴煙を撒き散らすその姿を目にしただけで心が凍る。噴煙と共に撒き散らされるその声を聞いただけで、脳細胞が死滅しよう。
先程、携帯で読み耽った中にあったもの。それが、『ヨグ=ソトースの球体』だ。副魔王の従者、その意を体現すべく遣わされるもの。だからこその、『御遣い』、か。
「ほう、召喚か……見たところ、、『ソロモンの小鍵』の摸倣かな? 機械仕掛けとは、また賢しい真似をするね」
だがステイルは、それにすらも僅かに眉を動かした程度。既に見抜いているのだろう、この『ゴモリ』には、戦闘力等はない事は。
何と有れば、『魔女狩りの王』の腕の一振りで粉砕できる。そんなモノだ、この『ゴモリ』は。
「ああ……そうだな。全部、全部。俺のは真似事さ。空しい事に、愉しい事に」
それを、嘲笑する。賢しい話だ、とばかりに。
「だから、コイツを呼んだんだよ。アンタに、勝つ為にな」
「僕に勝つ為……だと?」
初めて、魔女狩りがこちらの真意を図りかねる。年不相応、まるで、年下の少年の如く。
だが、思うところはない。目の前に居るのはただ、倒すべき仇!
「さぁ、ゴモリよ。『護符の識者』よ。汝が紐解くは、彼の術式────神刻文字なり」
『Woooooooooo……!』
讃えるように、蔑むように。駱駝は、虚ろに輝く胡乱な眼差しを『魔女狩りの王』に向ける。
そう、この従者こそは『護符の識者』。あらゆる『護符』の意味を知る者。則ち、それは────
『立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ、立 ち 消 え よ!』
「な────!?」
断末魔の絶叫の如き咆哮。油混じりの泡を飛ばされた寸暇、『魔女狩りの王』が崩壊を始める。『消沈』の三大ルーンを刻まれ、術式をも鎮静化させられたか。
さしものステイル
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ