魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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鳴を上げた。いや、歓声だったのかもしれない。慌ててデバイスを取り出し、彼女はこう言った。
「ジュエルシードの反応があるよ!」
4
あくまでも自分達にとって、だが。ジュエルシードの反応があった場所まで、大した距離も無かった。むしろ、こんなにも近くにあった事に驚きを覚えたほどだ。まぁ、探し物など大体においてそんなものだろうが。
とはいえ、見つけた事と回収できた事は別だ。今回のように、敵対者がいる場合はなおさらだった。とはいえ、奴らが出てきたのなら、それはそれで好機だった。一時的なものとはいえ、厄介な足かせを排除できるのだからむしろ望んでさえいた。……のだが。
「どうやら、魔導師ってのは死にたがりが多いらしいな」
フェイトとアルフと共に物陰に身をひそめ、ジュエルシードが封印される様を見届けながら、呻いた。殺戮衝動とは全く関係ない殺気が身体を突き抜ける。もちろん、この可能性を全く想定していなかったとは言わないが――できる事なら的中して欲しくはなかった。つまり、
(やはりリブロムじゃなのはを止められなかったか……)
それは予測していた事だ――が、理由は何であれ管理局はなのはを巻き込んだ。これでまた一つ、何としても排除しなければならない理由が出来た訳だが――それと同時、奴らは排除する事が出来ない戦力を得てしまった。
(俺がなのはを相手にしている間に、奴らは悠々と背後を取れるって訳だ)
アルフの話からすれば、連中の本質は治安維持組織であるらしい。とはいえ、こうして一般人を最前線に放り出してきた以上、その言葉を額面通りに受け取るのは危険だろう。根本的なところで、相手は魔法使いの組織だ。どんな手段を使ってきたところで驚くに値しない。むしろ、これくらい露骨な罠ならまだ可愛い方だ。
(大体、治安維持って名目は決して組織の安全性を証明するものじゃあないからな)
それに関しては魔法使いの組織であるかどうかなど関係ない。
かつての自分の永い生涯の中で、治安維持を掲げる集団が繰りなす殺戮劇を何度見てきた事か。うんざりしながら呻く。
そもそも治安維持というのは、定められた法に反するものを排除する、という意味でもある。向こうの法がどんなものかは知らないが――というか、それも深刻な問題だ。司法が……司法機関が正しく機能するには、何よりの前提としてまずその文明基盤に組み込まれている必要がある。いや、文化の一部と考えていいだろう。結局のところ、文化なり文明なりを共有している場所でしか、その法は法として機能しない。少なくとも、俺やなのはにそれへの従属を要求するのは傲慢というものだろう。
(まぁ、フェイト達を抱えている以上、一概に被害者面もできないのが辛いところだが)
法の有効範囲というのは、国という括りに限った事ではない。村や集落、家族
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