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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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来る集団と、固い結束で結ばれた組織。どちらがより厄介かと問われれば返事に困るところではある。だが、そのどちらであれ人手不足の組織なら、普段より多少は楽ができるだろう。
「いただきます」
 取りあえず三人で昼食をつつく。色々と問題は山積しているが、この瞬間だけは平和なものである。……これでも、同席している全員が魔法使いなのだが。
「アルフ、お前はもっと野菜を食え。そしてフェイトはちゃんと肉も食べること」
「いいじゃん。アタシ狼だもん」
「えっと、でも……ほら、アルフはお肉好きだし」
 だと言うのに、この訳のわからない平和っぷり。
「そんなところでまでチームワークを発揮しないでいい」
 それぞれ野菜と肉を交換し合う二人に、何度目かのため息をつく。 
 恩師や彼と同じ時代を生きた友人達が聞いたら腰を抜かしかねない状況である。……我が恩師ながら、実に殺伐とした世界を生き抜いてきたらしい。
(向こうはそこまで殺伐としていないようで羨ましい限りだ)
 もっとも、あの女――リンディとやらが割って入ってきた理由が、戦力的な問題からなのか。それとも単純に身内だからなのか。それとも別の何かがあるのかは、今の時点では判断がつかないが。ともあれ、管理局とやらがそこまで殺伐とした関係性で行動しているわけではなさそうだった。
(人手不足で青息吐息になっている組織なら、やりようはいくらでもある。少なくとも、今この世界にいる奴らを戦闘不能に持ち込む事は難しくないはずだ)
 増援がくるまで少なくとも数日以上の余裕はあるだろうし、来たところで向こうの事情が変わらない限りはやる事は変わるまい。専用の大部隊でも組まれれば厄介だが――それを編成するには色々と面倒がありそうだ。となれば、もっと長い時間がかかる。つまり、リンディ率いる部隊を壊滅させられれば当面の脅威は取り除けるという事だ。
(もっとも、戦闘にならずに済ませられれば一番なんだが……)
 それは無理だろう。向こうの価値観で考えれば、違法行為をしているのはこちらだ。事情を説明したとして、どれほど効果があるものか。残念だが、今のところ治安組織を懐柔できるほどの手札はない。今の状況では精々がフェイトの身柄と引き換えになのはの安全を確保できるかどうかか。それでは意味がない。
(まぁ、いいさ)
 連中にとって泣いている子どもを牢獄にぶち込むのが正義だと言うなら、それで構わない。この子たちを犠牲にしなければ世界を救えないと思っているなら、それでもいい。
 生憎と俺も正義の味方を気取るつもりなどない。そして、掟破りは今さらだ。覚悟ならすでに決まっている。
(さて、あの女の首が狙えるか?)
 結局のところ、戦いなんてのはいつの時代も首の取り合いだ。少数精鋭の組織が勝つには大軍を率いる司令官の首を取るしかない。逆に少数
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