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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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ないな)
 選択と決断。それに対する覚悟。魔法使いには常にそれが要求される。光はそう言っていた。そんな事は誰でも変わらない――初めて聞いた時は思ったが、
(なるほど。確かに重いな)
 戦いに明け暮れる日々の中では常に傍にあったはずの重さだった。それをしばらく忘れていたような気がする。忘れたまま……よりによってまだ幼い末の娘にそれを要求してしまったのではないか。迷いの正体を見極められれば――自ずとその答えも分かる。
「ああ、そうだな。あの子はきっと迷っている」
 送りだす以外にしてやれた事があるのではないか――父親としてそう思う自分。
 己の道を見定めた相手にそれ以外の何をしようと言うのか――剣士としてそう思う自分。おそらくは同じような葛藤を光も抱えている事だろう。あるいは、なのは自身も。
「だけど、道を踏み誤る事はないんじゃないかしら?」 
 気付けば入口に桃子が立っていた。手にタオルを持っているところを見れば、たまたま通りかかった訳ではなさそうだ。やれやれ、本当に集中力が乱れている。こんな姿を恭也達に見られでもしたら師として示しがつかない。
「きっと、リブロム君がちゃんと導いてくれるわよ。何て言ってもあの子は、光の相棒なんだから」
 荒事に慣れている僕より、桃子の方が不安なのではないか。そう思う。実際、その目には不安の影が写り込んでいる。だが、それでも――その言葉にはリブロムへの……そして、息子達への信頼があった。母は強しとは言うが――彼女の姿を見るとつくづくその言葉を痛感する。あるいは、僕等よりも遥かに強いのではないかとすら思う。
 だからという訳でもないだろうが、燻ぶっていた不安は霧散していった。……少なくとも、しばらくの間は。それに、思い出した事もある。
「そうだな」
 偽典リブロム。それは光の相棒であり、その力の全てを記した稀代の魔術書であり――そして、あのお人よしと血肉を……魂すらも分けあった半身であるという。ならば、口では何と言おうともなのはを見捨てる事なんてできる訳もない。そんな事はおそらくリブロム本人こそが一番よく理解している事だろう。




「なぁ、アルフ。管理局ってのは、あの状況で兵力を出し渋るくらい人手不足なのか?」
 傍らに立つ――ここ最近頻繁に料理を手伝わせているアルフに問いかける。執行官というのが具体的にどういった地位なのかは分からないが、使い捨ての歩兵程度ではないはず。それをむざむざと失いかけてなお――いや、それを言えばそもそもそんな地位の人物がいきなり出撃してくるというのも奇妙な話だが。
「どうかな。アタシもそんなに詳しい事は知らないんだけど……でも、フェイトに匹敵する魔導師ってのはそうそういるもんじゃないよ」
 元々センスは悪くなかったのか……それとも身近なところで悪すぎるセン
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