魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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ムの返事は、あっさりとしたものだった。
『だからオレは、ユーノの奴にあのチビを守らせる事を選んだ。ついでに言えば、危険に巻き込まれない程度に……ついでに言えば、誘導されている事に気付かない程度に好きにさせるつもりだった』
その隙に光がジュエルシードを回収。その後、ユーノを口止めして――必要とあれば口封じをする。それが、桃子になのはを託された時にリブロムが描いていた青絵図らしい。
「見込みが甘かったんじゃないか?」
もっとも、僕らが早い段階でもう少ししっかりと止めていればここまでの事にはならなかったかもしれないが。
『クソったれ。ンな事は言われなくても分かってんだよ』
ともあれ、リブロムの思惑以上になのはは深入りした。いや、違うな。光に何か異変が起こっているからという事もあるだろうが――
「業には抗いきれなかったか?」
本人が言うよりも遥かになのはの成長を楽しみにしていたのだ。僕と同じく。結局のところ僕らはきっと同じ業に囚われている。あるいは光も。
(まぁ、本人は意地でも認めなさそうだが)
傍にいれば分かるが、光にも見た目相応の――あるいは人間らしい未熟さはある。
『……まぁな。元々未来を求める奴の邪魔をするのはオレの仕事じゃねえんだ』
未来を求める者。なのはは一体どんな未来を求めているのだろうか。それは分からない。けれど、その未来に光がいないと言う事はあり得ないだろう。僕らよりもなのはの親をしている――なんて、店の常連客にはそんな冗談を言われているくらいだ。……あながち冗談とも言えない所が、我ながら少々情けないが。
「それなら、僕も同じだよ」
あの子が自分の道を歩み始めたなら、それは止められない。少なくとも、光に帰ってきて欲しいと願っているのはなのはだけではないのだ。
『だからって不死の怪物のために実の娘を危険に曝すか、普通?』
リブロムの言葉に僕は何と返しただろうか。雑念を振り切れないまま続けていた素振りを止め、ため息をつく。
「……血が繋がっているとかいないとか、そんなことで区別するような半端な気持ちで君達を家族に迎え入れた訳じゃないんだよ」
光が『帰らない』ではなく『帰れない』と言った事を知った時に、僕が覚えたのは喜びであり安堵だった。……結局のところ、それが答えなのだろう。残念ながら、今一番光を手助けできる力があるのはなのはだ。危険を伴う事は、誰よりもなのは自身が分かっている。だから強制するつもりはないが……あの子が光の後を追いかけたいと言うならそれを止める事はしない。
『だが、あのチビはまだ迷っているぜ?』
リブロムの声が再び耳の奥に蘇る。それはそうだろう。だが、それは進むべき道を見失っているだけだ。そのせいで辿り着く場所までも見失いつつあるかもしれない。
(迷っているのはなのはだけじゃ
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