魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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んな自覚はあった。ただし、
「御神光と接触を取るには、彼女の存在が絶対に必要よ」
自分に言い聞かせるように呟く。
御神光を放置する事は出来ない。この世界にジュエルシードがばら撒かれている以上はなおさらだ。御神光とジュエルシード。この二つが同時に暴走すれば、私達では……アースラの戦力だけでは止められない可能性がある。援軍を要請したとして――それが到着するまでにこの世界が滅びかねない。
(御神光への対応。その指針をいい加減に決めないとね)
時間がないのは明白だった。彼の相棒がそう宣言したのだから――いや、その宣言より早く、その時が訪れる可能性も考慮しなればならない。なのはの説得に応じないなら、その時は強硬な手段も止む無しだが――
(拘束できたとしても、問題は解決しないわね)
御神光が扱う魔法は、全く未知のものだ。既存の――アースラにある技術で本当に無力化できるかどうかは分からない。また、代償とやらの鎮静方法は分かったが……積極的に殺人をほう助する訳にはいかない。だが、それ以外の方法など見当もつかない。
何にしても情報が足りない。補いたいが、それができるであろうリブロムは私達への協力を一切拒絶している。いや、
「情報を出し惜しみしている訳ではないのよね……」
今の状況で、リブロムが情報を出し惜しみする必要はない。彼は……彼らはすでに解決策を見出しているのだから。
つまり、御神光を止めるには、彼が誰かを殺すのを黙認するしかないという事だ。だが、それしか方法がないと言うのなら一体何故――
(それしか方法がないとしたら、彼は何故ジュエルシードを集めているの?)
保険だろうか。だが、彼らはすでに一〇個のジュエルシードをその手に収めているはずである。それではまだ足りないと言う事なのか。
「それとも、別の目的がある?」
だとしたら、それは何か。あの少女達は、一体どうして彼と共にいるのか。疑問は尽きない――が、一つ一つ解決している暇はない。私達がやらなければならない事は明白だ。
ジュエルシードの――ロストロギアの暴走は最悪、次元断層の発生に繋がりかねない。そうなれば、この世界だけではなく近隣の次元世界にも甚大な被害をもたらす。
(もしも、彼があくまでもジュエルシードの奪取に動くと言うなら――)
その時は、私達も覚悟を決めなければならない。時空管理局巡行艦アースラの艦長として、まず世界の危機にこそ対応しなければならないのだから。この世界に生きる何十億人もの人間を……あるいは、それ以上の人間を救うための決断をしなければならない。私達の力には限界があって。その中でできる限り最善の選択をして。それが、どんな形であっても……その結果、犠牲者が出るとしても、だ。
――世界が終わるまで、あと九日
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