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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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れたところで、どこに向かえばいいのかも分からないのに。それが分かれば、選べるはずなのに。
『選択なんてのはそんなもんだ。その先の結果が分かってりゃ、誰も悩んだりしねえ』
 貸し与えられた部屋に戻り、ベッドに身を投げ出してから。思わずリブロムに泣き言を言うと、その本はいつになく真面目にそんな事を言った。
『どこに向かうかなんざ、オマエが自分で決めるしかねえんだ。そこに向かう道を誤りそうになったならケツに魔法撃ち込んでやるくらいならできるけどな。ヒャハハハハッ!』
 それは、そうなのだろう。私が何を望むのか。結局のところ、それが分かるのは私自身でしかない。そして、今はもう選ぶ事しかできない。全てが分かった訳ではないけれど――もう、選ぶ事でしか進めない。今の場所から先に進みたければ、次の何かを選ぶしかない。けれど、どんな道を選べばいい?
 今からでも光達に協力する?――でも、光に人を殺して欲しくなんてない。
 管理局に協力し、光を蝕む『魔物』の別の鎮め方を探してもらう?――見つかる当てもないのに、それで本当に平気なの?
 それとも、このジュエルシードに願ってみる?――それで解決するなら、何で光は自分でやらないの?
 ああ、違う。今考えなければならないのはそんな事じゃなくて――
(私は……私は一体、どうしたいの?)
 全ての悩みを、全ての迷いを消し去る。たった一つのカギ。
 それは、最初から自分の手の中にあるはずだった。




「なのはちゃん、大分参ってるみたいですね」
 食事もそこそこに、部屋へと引き揚げてしまった少女――なのはの背中を見送ってから、エイミィが小さく呟いた。
「そうね。……仕方がない事ではあるのだろうけれど」
 兄の異変。凶行に及ぶあの姿は、少なくないショックを与えただろう。そのうえで、あと数日で魔物と化すと宣言されたのだ。どれほどのショックを受けたか、想像する事すらできそうにない。
(そう、それは分かっているのだけど……)
 私達の故郷では……特に魔法の才能を持つ場合、就職年齢というのも低い事が多い。なのはと同い年ながら発掘隊に参加しているユーノなどはいい例だ。もっとも、彼の場合は一族そのものが遺跡探索を仕事としているので、家事手伝いという側面もあるのだが。
 いずれにしても、高町なのはは本質的に、ただの九歳の少女に過ぎないと言う事を忘れてはならない。
(……と、思うのは簡単なのよね)
 彼女の魔法の才能は破格だ。それに引きずられ、彼女を一人の魔導師として見てしまう。私達の常識を共有させようとしている。そ
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