魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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ムとの繋がりにも生じている。小競り合い程度なら――いや、戦場がこの『世界』であるならあまり気にならないが……今回はそうとも限らない。それに、
(ここまで力が下がってるとなると、あまり無茶もできない。いや、逆か)
無茶をするためにも相棒が傍にいて欲しかったのだが。それに、
(あいつと軽口でも叩き合っていないと、どうにも調子が狂うな……)
殺戮衝動の影響なのか、それとも単純に苛立っているせいなのか。どうにも思考が破壊的だ。管理局の登場により、殺戮衝動の侵蝕が早まったのも錯覚だとは言い難い。これでは連中との駆け引きなどとてもできそうにない。この様では、あの女どもを懐柔するなんて不可能だ。やはり当初の予定通り不穏因子は全て払いのけるべきか。それならそれで悪くは――
(ああクソ、つくづく厄介だな……)
どす黒い殺意が常に渦巻いている。まるで性質の悪い熱病だ。それに加えて、苛立ちを覚えずにはいられない状況にあるのも事実である。俺もまた感情を持つ生き物である以上、こんな状態でいつでも冷静でいられる訳ではない。だが、それにしても――
(俺は今、自分から衝動に飲まれようとしていないか?)
奇妙な違和感を覚えていた。まるで管理局を皆殺しにするより他にない――そう自分を説得したがっているような。そんな感覚に囚われた。殺戮衝動はその名の通り殺意を増幅させるが……しかし、単純にそれだけの影響だろうか。
(それ以外何があるって言うんだ?)
そう言って笑い飛ばしてしまえれば良かったのだが――ふと覚えたその違和感はいつまでも意識に絡みついていた。
5
「封印完了!」
三つ目のジュエルシードを無事に封印する。ひとまずの満足感を覚えたが――それも一瞬の事だ。すぐに周囲を見回す。だが、そこに求める相手の姿……つまり、光やフェイトの姿はなかった。
『まぁ、当然だろうな。相棒が奴らの監視に気付かねえ訳がねえ。オマエが奴らの軍門に下った事くらいはすでにお見通しだろ。なら、のこのこと姿を現す訳がねえ』
「…………」
言いかえそうとして――何を言い返せばいいのか分からなくなった。本当にここにいていいのだろうか。昨日からずっとそればかり考えている。リブロムの言葉を信じるなら、もう時間がないのに。なのに、答えが出ない。
『なのはちゃん、収容するね』
しばらくして、エイミィから連絡が入る。光達は姿を現さなかったようだ。あるいは、近くにいるのに見つけ出せないのか。
「はい……」
返事に元気がないのは自分でも分かっていた。選択を迫られているのは理解している。その選択肢も実際は迷うほどには多くない事も――うっすらと感じていた。ただ、まるで無数の選択肢が広がるような……それでいて、何一つ選べるものがないような、そんな不安。それがずっと背中を押す。押さ
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