魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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ない。
(さて、どこから手をつけようか)
まずはやはりなのはについてだろう。不安要素の一つである管理局から引き離しておきたい。そのためには、あの子から戦闘能力を奪うのが現状で最も現実的な方法だろう。どの道、のんびりと説得などしている暇はない。デバイスを破壊した状態で士郎達につき返せばいい加減保護してくれるはずだ。だが、
(それで危険が回避できるかと言われれば何とも心許ないな)
デバイスを失うという事は身を守る術を失うと言う事だ。もはや当初の――例えその思惑が完全に破綻していたとはいえ――ような念のための保険ではない。文字通りの命綱になっている。破壊しない事で生じる危険と破壊した事で生じる危険。どちらがより危険かは今の状況では判断できない。
もっと根本的な解決法はないものか。例えば――
(やはり――)
管理局を皆殺しに――
「それよりも、何だってアンタの妹は管理局にいるんだい?」
衝動に呑まれる直前、アルフが訊いてきた。その言葉でどうにか踏みとどまる。
(クソッ、出来るものならとっくにやってるさ)
お世辞にも正気に戻ったとは言い難いが、それでも努めて平静を装い――肩をすくめながら、言いかえす。
「あのな。ずっとお前達といる俺がそれを知っていると思うか?」
何故なのはが管理局にいるのか。それはまず俺自身が知りたい。状況次第では俺も覚悟を決める必要があるのだから。
「アンタ兄貴なんだろ。予想ぐらいできるんじゃないかい?」
「……まぁ、なのはだけなら騙すのは簡単だ。今の状況なら特にな」
あの子は人を疑うと言う事を知らない。それはあの子の美点であると同時に、最も危険な弱点でもある。なのはを騙し、利用するなど、腹の中に何を飼っているか分からないような連中にとっては赤子の手を捻るより簡単だろう。ただし、
(リブロムの奴、一体何を考えている?)
リブロムまで騙せる訳がない。さらに言えば、得体の知れない相手になのはを押し付けたりもしない。……はずだ。そして、リブロム自身があの連中に積極的に協力している様子は見られない。むしろ警戒している。まぁ、それは当然だろう。今となってはリブロムの方が■■■■■■■■■■■に近いのだから。なると――
「まぁ、リブロムじゃあ止められなかったって事かな」
やはり落ち着く形に落ち着いたということか。……最悪の事態を考え、俺の後継者とするべく止めなかった可能性もありえる……
(いや、それはあり得ないか)
思いついた可能性を否定する。殺戮衝動は厄介だが、解決方法が分かっている問題でもある。そして、リブロムもまた何が起こっているかは把握している。あの日――管理局が介入してきたあの日に、リブロムと接触しているのだから。つまり、リブロムも管理局の足止めこそが必要だとわかっているはず。それにも
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