魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
[12/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
付けて、と言う可能性もあった。いずれにせよなのはだけが無事ならいい訳ではない。結局のところ、士郎達が止める以外の可能性を考えれば、やはり丸腰にする訳にはいかなかった。それに、言い訳をさせてもらうなら――、
(まさかこんな短時間であれほど飼い慣らすとは思わなかった)
あのデバイスが相当に癖の強い代物である事もまた分かっていた。
そう簡単には使いこなせない――その予想が見当違いだった事も……なのはの才能が俺の予想を遥かに上回っていたのも誤算だった。まだまだ詰めが甘いが、覚醒してからの期間を考えれば異常と言っていい速度で成長している。もしもあの急成長がユーノの指導によるものなら、その才能には素直に称賛するべきだろう。
(やれやれ。子どもの成長ってのは早いものだな)
もう少しだけ子どもでいて欲しかった――勝手かもしれないが、そう思う。
ともかく。なのはの才能とそれを開放するデバイス。それに加えてリブロムとユーノがいれば、少なくとも安全を確保するには充分だったはずだが――
(まさか士郎達が本当になのはを止めないとは思わなかった)
誤算と言えるべき出来事はいくつもあるが、最大の誤算はそれだろう。殺戮衝動が目覚めた事よりも性質が悪い。まったく、これでは自分が何のために家を後にしたか分かったものではない。
(武闘派揃いなのも娘に甘いのも知っていたが、限度があるだろうが)
リブロムを紹介したのは武闘派ではない桃子のようだが。彼女が止めなかったなら……まぁ、確かに誰にも止められないか。
(それにしても、仮にも司法組織がこうも簡単に一般人を巻き込むとはな)
それは誤算と言うほどのものではない。なのはの脅威が一つ増えたと判断したからこそ、未だにリブロムもデバイスも回収していないのだ。リブロムはリブロムでなのはを煽っている節があるが……それでも本当に危険が迫れば、あの子を守ってくれる。
(それに、本当に危険なら――)
まぁ、手がない事はない。リブロムが傍にいてくれる限りは。……もっとも、今の自分ではいくつかの意味で不安が残る方法だが。
とはいえ、なのはが魔法に目覚め、しかも管理局と接触したという現実がある。それが覆されないのであれば、後に残る選択肢は決して多くない。
(さて、どうしたものか……)
管理局とプレシア・テスタロッサ。自分達――なのはとフェイトにとってより危険なのはどちらか。これが一番悩ましい。治安維持組織なら無条件に信じられるか? あの女が掲げる正義は彼女達を救えるか?
(無理だろうな)
結論は何の抵抗もなく胸を通過して行った。向こうに言わせれば俺達は罪人だ。その前提で考えれば、どちらが危険か分かったものではない。あの夜のフェイトの様子から考えてプレシアが安全だとは言えないが、だからと言って管理局を信頼する理由も
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ