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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――3
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…」
 自分達と文化、文明を一切合財共有していない――自分達の価値観にない、あるいはそれから外れた存在。そんなものは、いくら姿が似通っていたところで家畜と変わらない。そう考えたとしても別に驚くほどの事ではない。人間とはそういう生き物である――少なくとも、そういう側面を持った生き物である事は、歴史が証明している。
「さすがにそういう扱いはしないはずだよ。魔導師じゃない人間だって管理局で働いてるって聞いた事があるから。……まぁ、事務仕事とかがメインみたいだけど」
 どことなく呆れたようにフェイトが言った。続けて、アルフも頷く。
「もちろん、管理世界内では他にも色々やってるみたいだけど、魔導師……魔法技術が他所の世界に迷惑をかけないようにするってのは大きな役割の一つだからね。基本的にこの世界の住民に危害を加える気はないんじゃないかい?」
 だが、実際問題としてなのはは巻き込まれ、最前線送りにされている訳だが。そして、子どもほど扱いやすい兵士はいない。さらに言えば、
(クロノは何故出てこない?)
 俺達は魔法使いだ。あの程度の傷なら魔法で癒すのは簡単なはず。となると、敢て高みの見物を決め込んでいると考えていい。民間人を――しかも子どもを前線に放り出して高みの見物とはなかなかいいご身分のようだ。まったく、預けておくには不安が尽きない。
(あの時解放するべきじゃ無かったかな……)
 いっそ、フェイトの部屋のどこかに拘束して監禁しておいた方がいくらか気が楽だったかも知れない。
(それとも、デバイスを破壊しておくべきだったか?)
 ユーノが戻って来なかった時点で、デバイスが回収できなかった……つまり、なのはが魔導師になった可能性には気付いていた。あの時点で家に引き返して――いや、せめてクロノと接触した時点で破壊しておくべきだったか。ちらりとそんな考えが浮かんだが……首を振って否定する。そんな事をすれば、なのはの性格からして丸腰のままでも追いかけてくるだろう。それなら身を守る術の一つも持たせておく方がまだ気が楽だ。
(あの時の状況なら、まだ魔法を使わせる方が安全だったはずだが)
 少なくともあの夜の時点でデバイスをそのままにしたのは、精々がお守り程度の意味合いでしかなかった。もちろん、魔導師としての覚醒に繋がりかねない代物を放置するのは本意ではなかったが、何より大切な事はなのはの安全だ。あの子が平穏に生きていける事だった。魔法に関わらせないというのは、あくまで手段に過ぎない。もっとも、
(またロクでもない選択をさせられた事には変わらないか)
 この選択が正しかったのかどうか。それは、今になっても分からない。さすがの士郎達も丸腰なら後を追わせたりはしなかったかもしれない。だが、リブロムやユーノに任せて送りだしていた可能性もある。恭也や美由紀を護衛に
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