暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.20 ワタル迷走
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、エルザと何があったんだ?」

 何も言っていないはずなのに、言い当てられたワタルは目を見開く。

「お前があんなに落ち込むなんて、エルザ関連以外にねえだろうが」

 したり顔でそう言うマカオだが、その表情は真剣そのもの。エルザに関する事でワタルに言うとすれば、冷やかしや煽りと言ったからかいしかなかったため、ワタルは戸惑ったが……意を決して話し出した。

「……誰かに言った方が楽になるかもな……そうだよ」
「喧嘩か?」
「いや。ただ……俺が先走って、勝手に傷ついて勝手に塞ぎ込んでたんだよ」

 自嘲しながら、ワタルは包帯が巻かれた右手を眺めると、掻い摘んで説明し始めた。




「――――で、逃げ出してきたってわけか」
「逃げ出すって……まあ、そうなるか。そうだよ」

 数分後、あらかた話し終えてそう締めくくったワタルは溜息を吐くと、話が少し長くなってしまったので、気を利かせたロメオが用意した水を飲んでのどを潤す。ちなみに、ロメオが食事の用意を始めた瞬間、マカオはジョッキに酒を用意した。

 マカオを肯定すると、ワタルはそのまま続ける。

「無様なもんだろ? エルザの好意に仇で返そうとして、そのまま逃げだしたんだ。自分がこんな屑なんて、正直思いもしなかったよ」

 自嘲の笑みを浮かべて自分を嗤うワタルに、マカオは口を開いた。

「……まだ自分に酔う余裕があるなら、大丈夫そうだな」
「なに?」

 『自分に酔う』
 それは自分が悲劇のヒーローぶっていると言われたのだろうか……そう感じたワタルは心にチリチリと燻るもの――怒りに眉を顰めてマカオを睨んだ。

「だってそうだろうが。自責っつーのは、自分に余裕があるからできるもので、言い換えれば独善みたいなもんだ。お前の独り善がりなんて聞かされたって、こっちは胸糞悪いだけなんだよ」
「独り善がりだと? 俺は……」
「なら、なんであんなところで一人で落ち込んでた? 独り善がりじゃないっつーなら、エルザの傍にいて、誠意を込めて謝れば済む話じゃねーか」
「それは……」

 怒りを抱いたワタルだが、マカオの指摘に言い返せず、唇を噛んで俯いてしまう。黙り込んでしまったワタルに、マカオは表情を緩めると、今度は柔らかい口調で言った。

「まあ、そうだな……お前がそう言う感情を持っちまうのも仕方ないさ。初恋、なんだろ?」
「…………」

 沈黙は肯定と同意だった。
 耳を赤くして顔を背けるワタルに、マカオが酒を飲みながらのにやけ顔にカチンと来たのか、ワタルも言い返す。

「じゃ、じゃあ、マカオはどうだったんだよ?」
「どう、って?」
「初恋だよ、初恋。苦い思い出の一つや二つ、あるんじゃないの?」

 ワタルの質問に、マカオは目を瞬かせ
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