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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.20 ワタル迷走
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それだけでは彼女の顔色など見えるはずもないため、何を考えての宣言なのか、分かるはずもない。
 だが、それでも声色から彼女が真剣である事は分かったため、こちらも少し考えてから返す。

「……今は対等じゃないのか?」
「私にとっては、な。だから、今の私がこんな事を言うのは分不相応で傲慢なのかもしれない。だがな……」
「……」

 そこでエルザは口を一度閉じる。ワタルが黙って続きを促すと、一呼吸おいてからまた開けた。

「もっと私の事を頼って欲しいしんだ」
「……そんなにお前を頼ってないか、俺は?」
「気付いてないなら重症だな。ガルナ島で何があったのか話そうとしないだろう?」
「それは……」

 ガルナ島で思い当たる事と言えばウルティア関連だろう。
 彼女の事を誰にも言っていないのは、個人的な事情だからだ。エルザに限って言えば、異性として意識している女性に他の女性と会っていたとは言いたくないという、傍から見ればどうしようもなくちっぽけな、ワタル個人の子供じみた理由もあったのだが。
 言い淀んでしまったワタルに、エルザは慌てて弁解するように続けた。

「い、いや、責めている訳じゃないんだ。ただ、私は……」
「……そう言うつもりでお前が言ってるんじゃない、って事ぐらい分かってるよ」

 正義感が強くて嘘の下手なエルザの事だ、責めていないというのは本当だろう。ただ、それが分かってしまえば、今度は自分の不誠実さを情けなく感じてしまう。

 なるべく穏やかな声音で言うと、惨めさが荒い声色となって表に出てしまう前に、ワタルは立ち上がりナツ達の方へ向かおうとする。
 エルザは思わず、タオルを持っていない方の手で彼の手を掴んだ。

「……まだ何かあるのか?」
「そういう事じゃないんだ、ワタル……気分を害してしまったなら謝る。ただ、私は……」

 お前の力になりたい。後に続く言葉はこんなところだろうが……ワタルにとってはその正否はどちらでもよかった。

 ワタルは掴まれた手を逆に引き寄せ、エルザを抱きしめた。

「ああ、分かってる……分かってるよ」

 ああ、確かに分かってはいる。彼女がガルナ島で無様を晒した自分を案じて言ってくれているのは分かっている。彼女は何も間違っていない、悪いのは自分だけだ。

 それが分かっているだけに、彼女の謝罪はそんな申し訳なさや劣等感を増幅させるばかりだった。
 抱きしめたのは、惨めさで歪んでしまう表情を気取らせまいと、『男の意地』という本能が取らせた防衛行動。

「ワタル……?」

 腕の中で戸惑いの声を漏らすエルザに応える事なく、ワタルは抱きしめる力を強める。いつもの鎧姿ではなく、長袖のブラウス越しに感じられるエルザの温もりと、女性らしい柔らかな身体と長い髪の匂い
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