幽鬼の支配者編
EP.20 ワタル迷走
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がからかいの類ではなかった事を知ったワタルは真剣に聞くことにした。
「いいか……男ってのは案外単純にできてるんだ。一回吹っ切れれば、大抵の悩みは解決できるような余裕も生まれるものさ。それに、あんないい女とそういう関係になりたくないって方が、男として終わってるしな」
「……それって偏見のような……うーん……いや、でもなあ……」
分かるような、分からないような、分かりたくないような……複雑だったが、マカオが言おうとしている事は分かったワタル。それでも釈然としないものはあったが。
「あー……勘違いするなよ? 別に無理にそうしろって言ってるんじゃない。お互いのためにも、そうならない方が良いんだから」
「そりゃそうだけど……まあ、頭の片隅くらいには置いておくよ」
頭を掻いてきまり悪そうに言うマカオに、一応は納得の形を見せたワタル。
酒が入るとぶっちゃけた話が多くなるとは思っていたが、それがこう来るとは……と、感慨深く思っていると、マカオが話を変えた。
「それで……どうするんだ、結局?」
「……とりあえず、エルザに謝らなきゃな。……それとお礼も」
「ああ、それがいいだろう……なんだよ?」
返答に満足そうにうなずくマカオだが、ワタルがじーっとこちらを見ているのに気が付き、怪訝そうに聞いた。
それに対してワタルは……
「いやあ、普段エロトークしてる姿しか見てないから……」
マカオはずっこけそうになった。
「おいおい、お前も大概失礼な奴だな。こう見えても俺は昔なぁ……」
「よし、そうと決まれば『善は急げ』だ! じゃあ、俺は行くよ」
武勇伝を流そうとするマカオを無視してそう言うと、ワタルはグラスの水を飲み干して、席を立った。
遮られたマカオは不満そうに口を開く。
「おい、今からかよ?」
「今からだ。……サンキューな、マカオ。治療の事とか、話聞いてくれた事とか……色々楽になったよ」
「ま、気にすんなよ。迷える若者に助言を与えるのは年長者の役目だ」
礼を言って頭を下げると、ワタルは出て行く。
入った時より数段軽い足取りで出て行った彼を見送るマカオは、意外なせっかちさに辟易としながらも、笑みを見せるのだった。
「あれ、ワタル兄、飯食べてかないの?」
「悪いな、ロメオ。……親父さんを大事にな」
「え? あ、うん……」
「じゃあな」
玄関でロメオに会ったワタルはマカオに聞こえないように小声で付け加えると、コンボルト宅から出て行く。
「ああ、また明日な! ……父ちゃん、ワタル兄と何話して……ってか、飯前にお酒飲むなよ!!」
「いやー、若いっていいねえ」
リビングに入ってきた息子の6歳とは思えないほどしっかりした小言を聞き流しながら……若者の未
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