幽鬼の支配者編
EP.20 ワタル迷走
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」
「ふーん。見た感じ、怪我人が出てないのはそういう事か……」
「不幸中の幸いだったな」
「不意打ちしかできんような奴らに目くじら立てる事はねえ。放っておけ」
ミラジェーンの言葉にワタルが安堵し、エルザもそれに相槌を打つ。酒を呷っていたマカロフも、アルコールに顔を赤くしながら鼻で笑っていたのが……怒りを抑えられない者が一人。
「納得できねえ!! 俺はアイツら潰さなきゃ気が済まねえ!!!」
ナツだ。青筋を浮かべ、マカロフが座っているテーブルに手を叩きつけて抗議するその姿は怒りに満ちていたが、なおもマカロフは取り合わない。
「この話はおしまいじゃ。仕事の受注は上が直るまでここでするぞ」
「仕事なんてしてる場合じゃ――」
「ナツゥ!! いい加減にせんか!!」
痺れを切らしたマカロフだが、その矛先はまたもやルーシィ。
「……だからなんであたしのお尻?」
「マスター……怒りますよ」
「……いかん、漏れそうじゃ。ワタル、報告は明日でいいぞ」
「なんで平気なんだよ、じっちゃん……」
寸劇の後、ワタルの返事を待たずにトイレに消えるマカロフ。
その後ろ姿に悔しげに声を漏らすナツに、ミラジェーンが答えた。
「悔しいのはマスターも一緒なのよ、ナツ。でもギルド間の抗争は評議会で禁止されてるのよ」
「先に手ェ出したのはあっちだろ!!」
「そういう問題じゃないのよ」
尚も怒りを収めないナツをミラジェーンが宥める。
「マスターがそう言うなら……仕方ないな」
そう言ったエルザも感情では納得できていないみたいで、俯いて悔しそうにしている。ギルドの面々もそれで一応は落ち着いたのか、不満を抱えながらも、それを表に出そうとする者は無くなった。
「……」
そんな中でワタルはただ一人……怒りでも悲しみでもない、ギルド内の誰とも一致しない表情で溜息を吐くと、ギルドから出て行くのだった。
= = =
その日の夕方……ルーシィは自宅にて、頭痛を堪えるかのように額に手を当てていた。
「だからなんでいるのよ!? しかも多いっての!!」
頭痛の種は不法侵入者。しかも今回はナツ、ハッピー、グレイ、エルザのそろい踏みだ。
幸いながら、毎度のように散らかしてはいないみたいだが、年頃のルーシィにとっては慰めにもならない。ガルナ島に持ち込んだ荷物が入ったスーツケースをナツの顔面目掛けて投げつけてぶつける事で、せめてもの鬱憤晴らしとした。
お約束が済んだところで、エルザが説明のために口を開く。
「ファントムの件だが、奴らがこの街まで来たという事は、我々の住所も調べられているかもしれないんだ」
「え?」
「まさかとは思うが、一人の時を狙ってくる
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