下忍編
人間+化け物÷2
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、チャクラを流す。
冷めている体温は、先ほどまではもっと温かったはずだ。流れている血は、もっともっと、量が少なかったのに。
「ごめん、さすけ、ごめん、ごめん、さすけ、やだ、さすけ」
涙に塗れた言葉が、降りそそぐ。酷く弱く震えた声が、辺りの静寂を揺らす。
何ともなしに流れた涙が、頬を伝い、雨のようにサスケの顔に降り注ぐ。
サスケはそれを受けながら、ぼんやりと、意識があるのかないのかも分からない微々たる感覚で、夢を見ているような感覚で、そのカトナの言葉に、昔を思い出していた。
『ごめんね、サスケ』
昔、そうやって、彼女が自分に謝ったことがあった。
『仕方ない、ことなんだよ』
そう言って笑った彼女は、小さくしゃくり声をあげて、怖い怖いと泣き叫んで、嫌だよとサスケに震える声で縋ってきて、それでも、ナルトを守りたいという思いに嘘をつくことが出来ず、しっかりとふみきって、飛び越えて、覚悟を手に入れた。
カトナは強者になった。そうやって、自分の体を見殺して、他人の体を見捨てれて、ナルトだけを優先できる強者になった。
だからサスケは、一生その気持ちを伝える気はなかった。ただ、傍に居ることだけを望もうと思った。最後の最後まで、自分には振り向かない酷い彼女を、それでも、望まれなかったとしても、愛そうと思った。
彼女がナルトを思い、自分の体を慮らないのであれば、代わりに自分が彼女のことを守ろうと、慮ろうと、彼は彼女を守る決意をした。
だから彼は、自分が死んでしまっても、それはそれでいいと思っていた。彼女を守って死ねたならば、それはそれでありだろうと、そう思っていた。
カトナの為に死ねるわけではないけれど、カトナを守って死ねるのはありだろうとは、思った。
その姿を、見るまでは。
ぽろぽろと、彼女が自分を見て泣いていた。どうしようもないくらいに、溢れる涙が抑えきれないとでも言うように、彼女は目を真っ赤にはらして、サスケの手を、ぎゅっと、弱弱しい力で、それでも決して離さないというように硬く握りしめて、泣いていた。
うろたえたサスケは、それでも、なんとかカトナにわけをきこうとして、抱きしめられる。
はらりと、赤い髪の毛がサスケの首に触れ、彼女の嗚咽が耳をくすぐった。
「さすけくんっ! よかっ、たぁ」
サクラのなき声が、鼓膜を揺らす。
なんでないているんだとか、なにがあったんだとか、敵はどうしたんだとか、言いたいことはたくさんあって、言うべきことは万にも上っていた筈なのに、口から出たのは、その言葉だけだった。
「泣くなよ、カトナ」
「ない、ひくっ、て、うっ、ない、っうぇ、よ」
「…どの口が言うんだよ」
皮肉のつもりで言ったはずのその言
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