#10『その名は日常』
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つを引き込めれば、随分行動がしやすくなる。今回の時間軸で誰に転生しているのかもなんとなくあたりが付いている。だけど、たぶんまだ駄目だ。覚醒してない。騒ぎを大きくして、記憶の覚醒を促して――――もちろん、そのために最低でもあと一回、かなり大規模に反逆を起こす必要がある。
場合によってはそこでもう一人仲間を確保できるかもしれないけど……まぁそれはオマケ程度でいいだろう」
アイオーン……その名前に聞き覚えはないが、なんとなく懐かしい響きのような気がした。時間の妖精、という事は、この部屋の天井にあるステンドグラスの内で『前回』を描いたものにいる、あの時計の周りを飛んでいる精霊のことだろうか。
計画のことを話すとき、キングはいつもよりも饒舌になる。恐らく《理想》が近いことに興奮しているのだろう。その時の彼は、まるで将来の夢を語る子供のような目をしている。
――――できれば、キングにはいつでも楽しげな表情をしていてほしいと思っている。時折彼の見せる、哀しそうな、暗い表情は見たくない。彼には笑っていてほしい。そのために生きると誓ったのだから。
「……キング。あなたの理想が完成するまで、私、我慢してみる。だから、早く完成させましょう?そうすれば、犠牲も少なくて済むわ」
メイが唐突にそんなことを言うと、キングはぱちくりと瞬きをして、ふっ、と優しい微笑を浮かべた。
「……そうだね。君らしい考えだと思うよ――――」
そこでふとキングは、壁にかかった時計を見る。七時半を過ぎていた。
「とにかく、今は朝御飯にしようか。ククリもそろそろ起き出してきた頃だろう」
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