#1 始まり
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六時間目も終了まで、あと10分となった。
俺は、暇つぶしに窓の外を眺めていた。
ここは、二階だから遠くまでの景色が見える。
だから、俺は暇な時は外を眺めている。
「いつも通りの景色だ…」
そんな、当たり前のことを呟いていた。
俺は、先生が黒板に書いた数式をノートに写しはじめた。
「きゃっ!!」
短く、途中で途切れたような悲鳴。
どうやら、後ろの席の柏崎さんの声のようだ。
「どうした……えっ?」
振り向くとそこには、喉にポッカリと穴が綺麗に空いた柏崎さん。
そこから真っ赤な血が机に流れている。
すぐには理解できなかった。
こんな、非日常的なことは起こらないと思ってた。
「きゃぁぁぁぁぁあ!!」
たちまち教室中に悲鳴が響き渡る。
ようやく落ち着いた俺は、あたりを見回す。
名前を呼び続ける子。
声にならない声を出す子。
気持ち悪くなって吐く子。
そして…
柏崎さんの後ろの席の山田君は…山田君が手にしていたのは…
それは、小さな、真っ赤に染まったもの。
それは、柏崎さんの喉を貫いたもの。
それは、槍だった。
よく、漫画にでてくるような、そんな槍だった。
それを手にしている山田君は、ガタガタと震えている。
「違うんだ…僕じゃない…僕はただ妄想を…」
ボソボソとつぶやく彼に近づく男がいた。
「お前が俺の美香を殺したのか!!」
柏崎 美香の彼氏、信条君だ。
「このクソ野郎!!」
信条君が殴ろうとしたその瞬間、山田君の槍が彼の喉を貫いた。
「がっっ!!」
また、悲鳴が響き渡る。
『ガガッ!ピー!c3nGyt2pft'wztmggnsl1@jui##/??(qvt0』
理解不能な言葉が、スピーカーから流れる。
『インストールカイシ』
『カンリョウ』
『モニターキドウ』
ロボットのような声が流れる。
そして、黒板に何かが映された。
何だあれは?
人だ。
TVで見たことがある。
確か、桐谷 零(きりがや ぜろ)。
あの、コンピュータを作った天才少年だ。
彼がなんで?
『こんにちは、日本全国の皆様。フフッ』
不敵な笑みを浮かべて、彼はそう言った。
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