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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九七幕 「戦闘宙域、突入せよ」
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指で床を跳ね、距離を取って低い体勢で着地する。さながら忍者のような体裁きだ。
首を刈り取ろうとしているかのような速度の蹴りだった。跳び蹴りの勢いをここまで殺さずに放ってくるなど只者ではない。襲撃されているユウはその体術に戦慄した。
「悪くはない、ね」
「・・・お姉さんは何者なのかな?」
「ニンニン、拙者は忍者にゴザル!」
ワザとらしく口元に指を立てて忍者の真似事をする女性。ライダースーツのような服に、本当に忍者のような被り物と口元を隠すスカーフ。何とも中途半端な忍者だが、その身体能力は漫画の忍者に引けを取らない。ボイスチェンジャーで少年のような声を出すその女性は、体の大きさからして成人だろう。愉快な言動に反してその攻撃は本気そのものだった。
いま、ユウは運悪く風花を所持していないためISに頼ることもできない。ユウの風花の待機形態はベルトであり、そして旅館の浴衣を身に着けていたユウは迂闊にも持ち歩いていなかったのだ。中にズボンは穿いているが、ジャージであるためベルトを着ける部分はない。帰ったら待機形態を別のものに変えてもらおうと密かに決める。
先生の指示で生徒を一カ所に誘導した後、ユウは姿が見えないつららを探して旅館内を歩き回っていた。佐藤さん、鈴、簪は既に事の成り行きを千冬の所へと聞きに行っており、丁度単独行動していたのだ。
ところが旅館の中庭に入った途端にこの女が現れた。最初の奇襲に反応できたのは奇跡に近い。兄が時折見せる本機の片鱗に似た気配を感じて反射的に身をかがめた瞬間、先ほどまで自分の首があったところを手刀が通り抜けて行ったのだ。
「格闘家、残間結章!その
首級
(
みしるし
)
チョーダイ致す!」
「生憎だけどこの首は誰にもあげられないな」
どうも言動に一々芝居がかったものがあって、危ないのか危なくないのか判断に困る人だ。男性IS操縦者を狙ってやって来たにしてはやり方が雑だし、かといって愉快犯にしては実力がありすぎる。もしも彼女が銃を持っていればさしものユウも勝てなかっただろうが、明らかに彼女は丸腰である。
「ってゆーか、この声どっかで・・・」
「戦いの最中に考え事していてよいのカナ!?」
「!・・・考え事は後だ!!」
真正面から相手の拳が迫る。が、フェイントだと感づいたユウは相手の行動を制限するように腕を伸ばした。そこからは相手の腕を払い、有利な間合いになるよう素早く体制を変える読みあいになる。が、苛烈な攻めと柔軟な腕の軌道の変化に段々と対応しきれなくなり、裏拳が一発顔に入った。まるで鞭のようなしなりを持たせた一撃は、寸でのことろで首を守ったユウの頬に直撃する。痛い、が、何とか喉と顎からは逸らすことが出来た。相手の腕を払いのけて距離を取る。
口の中に鋭い痛み。さっきの攻撃で口の中を切っ
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