23話 『通りすがりの旅人達』
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◇かつての水の都◇
厄介な事に、なりやがった。北西の大陸に近付くにつれて、嵐と荒波が船を襲った。
まるでオレ達がそこへ向かうのを拒むように─────
舵も、利かなくなった。
シファとビルには、危ねェから船内に居ろっつったのに、舵取りのオレが心配だからって傍に来やがった。
その気持ちは嬉しくない訳じゃねェが………
荒海に揉まれて、オレ達3人が海に投げ出されるのにそう時間は掛からなかった。
マジ、かよ。
オレらまでどーにかなったら、誰がアイツを、迎えに行くンだ。
オレは暗がりの荒海の中で必死にもがいた。
………けどそれは、虚しい抵抗だった。
意識が、遠のいていく─────
……………?
何かに片手を掴まれ、引かれていく。
この、荒海の中で。
シファか、ビル………?
違う─────何とか薄目を開けてみる。
微かに、全身白い光を纏ったような存在が後ろ姿で少し前にいて、オレの片手を引いていた。
髪が白くて、長い………アイツ、みたいだ。
────上半身、何も身に付けてないように見える。
しかも、下半身が魚みてェな………??
アイツが、人魚にでもなってオレを迎えに来たってンなら、笑えねェ冗談だな─────
( ………ランク……… )
( ん………マゥスン、か? 何だよお前………オレの事は貴様呼ばわりして、名前なンざ一度も呼んだコト───── )
「 ランク!! 」
「!? シ、ファ………??」
シーフのランクはベッドの上で意識を取り戻し、名を呼んでくれていたのは白魔道士のシファで泣いていたのか目を赤くしており、黒魔道士のビルも傍にいてとんがり帽子から覗く黄色い双眼を線状にし、喜び泣きしているようだ。
「良かった……、目を覚ましてくれて……!」
「ふぇ〜ん、ランクさん……起きてくれて良かったでスよぅっ」
「 ………ン? ドコだここ、船内じゃねェみてーな。オレら確か、荒海に投げ出されて──── 」
「ここは、オンラクっていう町の宿屋だ。前は水の都とか呼ばれてたそうだけど……。座礁した船と、海岸に打ち上げられていたあんた達を見つけてここまで運んだのが、おれ達なんだ」
声がした方に目を向けると、ある程度戦士らしい風貌で長剣、短剣を腰に備え、それほど長くはない銀髪を後ろに束ねている少年がおり、他に3名いるらしく、
何かの分厚い本を手にした緑の外套姿でインテリメガネを掛けている茶髪の少年、
忍び装束に額当て、黒マスクをしていて壁に背を持たせ掛け、腕を組んで下向き加減の姿勢で追い風を受けたような
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