第百八十六話 救援
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を空けた筒型の陣形を取ると、一気に後退を始めながら同盟艦隊へ向ける砲火を更に凄まじくし追撃を不可能な状態に陥らせる。
その攻撃は緻密でありながら大胆で剛胆な攻撃にラインハルトも感嘆を覚えた。
「見たかキルヒアイス、あの攻撃を、あれほど出来る人間がいるとは、後で会うのが楽しみだ」
「はいラインハルト様、元帥府を開いた際にスカウトする人材としても十分な人物だと思われます」
この主従は助かったことで、軽い気持ちになっていた。
混乱真っ盛りの同盟艦隊が迂回して追撃しようとしたが、何故か多数の輸送艦が残されたままで進路を塞いでいる状態のため、まともに追撃が出来なかった。それならばと拿捕しようと近づいた瞬間、田作の歯ぎしり状態なのかやけっぱちなのか輸送艦が無茶苦茶に防衛用小型ビームを放ち、拿捕に向かった巡航艦を攻撃してきたため、やむを得ず攻撃した瞬間、輸送艦が大爆発を起こし多数の艦艇に被害が生じる。
なんと輸送艦の中にはゼッフル粒子が満載されており無人状態で放置されていたのである。これはヤン戦法をお復習いしたテレーゼ版の戦術教科書から導き出された罠であったが、ヤンも未だ使っていない戦法なのでこの世界ではテレーゼが第1号の発案者と成ったのである。尤もテレーゼが発案したと戦史に記載されるのは遙か先になったのであるが。
後退しつつある艦隊は、更に繰り引き方式で最後尾の艦隊が前に出てコンテナから多数の宇宙機雷をバラマキながら後退していく。宇宙機雷の存在で辛うじて追撃しようとしたワーツ分艦隊も追撃を断念した。
フォーク中佐は悔しがりながら、ヤンがまともな戦術を作らなかったために恥をかいたとヤンの事を逆恨みし、ヤンは救援部隊の指揮官は敵ながら天晴れな戦術眼だと考えていた。艦隊の者達は一度降伏を受諾しながらそれを反古にしたラインハルトを汚い奴と罵る者が続出した。
この話は数ヶ月後にはフェザーン経由でオーディンまで伝わり、これほどの失態をしたにもかかわらず何の咎めも無いとラインハルトは門閥貴族は元より下級貴族から平民に至るまで、“寵姫のスカートの陰でこそこそと悪口を言い、助けてくれたケスラー提督を一方的に逆恨みしたうえに、騙し討ちまでする屑以下の卑怯者”と嫌われる原因と成るのである。
救援艦隊に護られた状態でイゼルローン要塞へ帰投しつつあるラインハルト艦隊はやっと落ち着きを取り戻したために、ラインハルトにも余裕が出来たため救援艦隊指揮官へ礼を言うべく通信を繋いだ。
通信に出たのは三十前の黒髪の美男子であった。双方とも敬礼を行う。
「ラインハルト・フォン・シェーンバルト少将です。この度は救援誠に忝ない」
『オスカー・フォン・ロイエンタール少将です。危ない所でしたな、間に合って何よりです』
「卿が来援してくれなかったなら、我が
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