暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外16『海坊主』
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に帰ってからのお楽しみ……だな。

 首を振り、いつまでも海に浮かんでのんびりとしている場合ではないと思い直す。
 気付けば『黒檻のヒナ』が乗っている船を含めた3隻の海軍船が、随分と遠のいたメリー号を追いかけて針路をとっており、残りの4隻が海軍船2隻を沈めたハントに対して雨のように激しい砲弾と黒槍の攻撃が始めていた。

「一人相手に豪華なことするなっての!」

 一度、深く海中に潜ってそれらをやり過ごす。

 ――一撃で決めてやる。

 そのまま海の中を高速で突き進み、そして時には顔を出して位置を調整。それを何度か繰り返して、自分を狙っている4隻の船とメリー号を追いかける『黒檻のヒナ』たちの3隻の海軍船が直線状に入る位置に身を置く。

「後方にいたぞ、あそこだ! 撃て撃て!」

 怒号と砲撃の音が鳴り響き、ハントはそれらを避けながらもメリー号と『黒檻のヒナ』の3隻の船、それに自分を狙う4隻の船の位置を最終確認して、ついにそこで動きを止めた。まだまだ雨あられとつづく海軍船の攻撃にさらされながらも、ハントはゆっくりと目を閉じて、再度、クロコダイルに負けたことを想う。

 ――クロコダイルに負けたのは経験値と……それに。

 ついさっきに自分の心の中で思ったことをまた心の中で唱えて、目を見開く。右こぶしを振り上げて――

「魚人空手『5千枚瓦正拳』」

 ――海面へと振り下ろした。

 先ほど両手で海面をたたいた時の比ではない。天にも昇るのではないだろうかと思われんばかりに海が空へと打ちあがった。そのあまりにも巨大な水柱にあらゆる海軍の攻撃は意味をなさない。
 まるでそれは意志を持った海の妖怪か何かかと思ってしまうほどに、その湧き上がった海の壁はあらゆる攻撃を呑みこんで見せる。砲弾も黒槍もまとめて上昇する海水に乗り、ただ無為に空へと昇っていく。

 天にも昇る巨大な水柱に、ハントもまた巻き込まれて既にその身を海面においていなかった。撃ち上げられた海柱の中に当然のようにハントの姿がある。もしかしたら海水とともに撃ち上げられることもハントの中では織り込み済みだったのだろうか、そう思ってしまうほどに……いや、事実としてそうだったのだろう。ハントは既に行動を開始していた。

 先ほど『海の宝刀』を放った時のように、水柱の頂点へ体を移動させたハントはそこから、徐々に海に戻ろうとする水柱へと、今度は黒く変色した右拳を――

「魚人空手『5千枚瓦正拳』」

 ――叩き付けた。

 海の壁がただ元の海に戻ろうとする、というところからハントに殴られたことでまた形を変える。殴られたままにまっすぐ斜め下へと水柱がすさまじい勢いで海面に叩き付けられた。

「……はれ?」

 これはハントの声ではなく、おそらく
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