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蒼穹のストラトス
質問−しゅうげき
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が良く、もう一押しといったところのようだ。ならば、これ以上手札を切る必要はないだろう。
右へ引っ張っていた竿を、とたんに左へ傾けてから再び右に振る。突然の連続にとうとう抵抗する力が弱まってきたところをとどめと言わんばかりに竿と糸の強度も無視して大振りに振り上げた。

「ビンゴッ!」

針が縫いつけられた糸が一夏の目の前にまで近寄せられる。
本来ならば針の見えるべき場所には、代わりに特大の淡水魚がピチピチと暴れている元気な姿が視界に映し出されていた。
それと同時に繋がっていた感覚が途切れるのも感じられた。

「さて、どうするかな……」

これだけ大きな魚だ。“彼女“に直接見せてやれば喜んでくれるだろう。
しかし接続を切ったということは、お楽しみは最後にとっておくという彼女なりの意思表示であり、それはつまりもっと色々なものが直に見てみたいという無言のお願い事にもなっていた。
本当にお姫様だな〜なんて漏らし掛けた口を慌てて閉じてから一夏は再び糸を水面に垂らした。



大量の川の水を入れた持参のクーラーボックスに魚が詰まりきり、一夏が釣りを中断したのは、それから四時間も過ぎた頃だった。あれ以来大物は釣れず、食らいついたのは一般的なサイズの淡水魚だけだった。
川を離れて最初に頭の中を通り過ぎたのは、今日の夕飯は何にしようか……ということだった。昨日釣り上げたタコをたこ焼きにして一騎たちを呼ぶのもアリだが、どちらかというと刺身派の一夏には海鮮丼や刺身定食も捨てがたかった。
一人暮らし故に凝った食事を作ることが多いので、前々からあった料理のレパートリーはこの半年間でさらに増大していっていたのだ。

「うーむ……よし、今日は唐揚げにしよう!」

この前テレビでやっていた唐揚げ特集のいくつかを脳裏に思い浮かばせる。
こちらに来る前からアニメよりバラエティーやグルメ番組を視聴していた彼には、この島の不満点であるローカル番組だらけのテレビは、一夏にはあまり意味をなさないようだ。
それからしばらく目的の場所へ歩き続けていると、途中で学校帰りの学生たちや大人たちの姿が目視できた。半分がフェストゥムである一夏はこの島唯一の学校であるあそこに通うことはせず、独学で勉強を続けていた。
半分が人間をやめたこの姿で学校へ通うことに抵抗を覚えていたからだ。一夏の事情を知っていてくれるアルヴィスの面々も、それで納得してくれている。
そうこうしているうちに辿り着いたのは山から直接海がよく見える木々が開けていて広々とした空間と、密かに隠された洞窟だった。一夏の目的地というのはこの洞窟のことであったのだ。
ふだんは子供たちに見つからないようにこの島に使われている偽装鏡面と同じ物を使用しているが、今この場にいる人物が一夏だけだと“彼女“が理解して
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