【ゼロの使い魔】編
037 盗賊(フーケ)ごっこ楽しいです
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リッシュモンの記憶から彼女の事は知っている。彼女の名前はミシェル。リッシュモンの記憶によれば、彼女は最近新設された銃士隊の副隊長らしく、リッシュモンによって王家への復讐心を植え付けられている女性。
リッシュモンの記憶によれば、ミシェルはリッシュモンが成り上がる際に殺された人間の娘らしく、リッシュモンの記憶を見る限り彼女──ミシェルの中では王家が彼女の親を謀殺した事になっている。……先にも軽く触れたが、今はリッシュモンの命令で最近アンリエッタ姫によって発足された銃士隊の副隊長になっている様だ。
(彼女を勘違いから解放するのは簡単だが……)
幻影≠フ虚無魔法で真実をミシェルの脳裏に焼き付けて、リッシュモンに本当の事を語らせてやれば、然も簡単に勘違いは解けるだろう。……ただ、それは正宜しく無い事も判っている。真の敵に利用されていたと知ったら、ミシェルの精神が壊れる可能性もある。……既にミシェルへと同情しかけてしまっている俺からしたら、それは好ましくない展開である。
かと言って忘却≠フ虚無魔法を使おうにも、今の状態ではどうにも長ったらしい虚無≠フ詠唱ではルーンの詠唱中に突貫されて邪魔されるのがオチだろう。……そもそも、忘却≠ナはふとした衝撃で記憶が戻ってしまう可能性がある事も考慮しなければならない。
「おっと。……そういえば、そうそう。俺は身体に杖を埋め込んでいる。……この意味は判るな?」
「……くっ!」
ミシェルが不穏な動きを見せたので、言外に杖は持ってないが魔法を行使出来る事を伝えて、ミシェルの動きを牽制しておく。
「くっ! ……儂は一体…」
「目が覚めたか。そろそろ潮時のようだ。……“スモーク・カーテン”」
リッシュモンが目を覚ましたので口早にルーンを唱え、その魔法を放つ。……“スモーク・カーテン”。土・火のラインスペルで恐らくは俺のオリジナルスペル。この魔法に殺傷能力は全く無く、自分の周囲を煙で覆うだけの魔法である。
「くっ、煙か!」
扉が開け放たれているとは云え、今のリッシュモンの書斎は殆ど密室とだという事になる。……当然その中で、煙を生み出す魔法なぞ使おうものなら、その煙は扉から排出される量の許容範囲を超え、煙は書斎の中に充満する。……その中で動けるのは、視覚に頼らない探知能力を持つ者のみ。
「ミシェル! 奴は窓から逃げるつもりだ!」
……なぜかバレた。それもリッシュモンに。
(……あ! そういえば)
以前ユーノから聞いた事がある。メイジなら得意とする属性で方法はまちまちだが、ある程度の探知が出来る事を。……リッシュモンが何で俺の動向を探知したかは知らないが。
「では、またいずれ」
「くっ、待て!
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