JK黒魔導師竜門珠希の憂鬱
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て活用できていた。
竜門家最年少、現在女子中学生3年の結月は末っ子なだけあって、両親からも親戚からも可愛がられて育てられてきた。成長期が両親の多忙な時期に重なってしまった珠希とは異なり、結月の成長期は時間を作れるようになった両親に囲まれていた。振り返ればよくそれで珠希はグレなかったものである。
しかも結月は去年、一昨年と文化祭のミスコンで連覇するだけの外見を持っている。中学の文化祭でミスコンなんてやっていいのかと思うが、思い返せば結月と同じ中学に通っていた当時の珠希は友人たちからしつこく誘われても「興味ない」の一言でエントリーを遠慮していた。
ていうか、週イチペースで告白やら恋文受け取り、街を歩けばナンパや読モに誘われるとか、あんたどこの世界線のメインヒロインだよ、と二人揃って美人姉妹と言われている(注:再度確認するが、事実は不明)のにこの格差はいつ生まれたんだと心中で泣き崩れる珠希であった。
だからこそ、かえって家に帰ってからの結月の――玄関の閉め方、靴の脱ぎ方、足音などの――仕草がだらしないとか女らしくないとか言うな。実際、気を抜けば女も男もこんなモノだ。男が女に幻想抱くのは勝手だが、勝手に幻滅されて罵詈雑言を叫ばれても女は首を傾げるくらいしかできない。
たとえトップアイドルだってその中身は人間だ。トイレには行くし、毛は生えて伸びるし、性欲だってある。24時間365日フローラルな息を吐いていられるワケないだろう。そんなのを期待するのはトイレの芳香剤だけにしとけと言いたい。もう、ほんとイミワカンナイ。
「そう。何も問題ないなら、結月の晩ご飯はお兄ちゃんの分にしてもいいよね?」
「へっ? え? いや何でそうな……って、あっ! 忘れてたぁぁっっ!!」
一瞬、校内とはいえミスコン優勝の肩書きが台無しになるくらい呆然とした表情を浮かべた結月だったが、珠希があえて強調した晩ご飯のフレーズに、ようやく事のすべてを理解し、絶叫した。
「思い出した?」
珠希の――裏の意図がある――優しい声に、ぶんぶんと首を縦に振る結月。
せっかく朝から30分以上かけてセットした髪の毛の先が乱れてしまっていた。
「そ。ならよかったね。まだ認知症じゃないみたい」
「え、と……。その、あの――」
「ついでにお兄ちゃんにお土産頼んだけど、結月の分まで頼んでないから」
「そんなぁっ!! オニだ! アクマだ! キチクのショギョーってヤツだよ!? 可愛い妹に対する態度じゃないよ!!」
うるさい黙れ。こっちは何としてでも午後7時を目処に晩ご飯を作らなきゃいけないんだ。騒ぎたいんならその「オニ」やら「アクマ」やら「キチク」を漢字で書
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