第一部「数奇なる騎士」
第08話「猪の叫び」
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ぇ!」
リュウセイが悔しそうに言う。
「やはりヴァルシオンはヴァルシオンということか…!」
ライもまたリュウセイに続く。
「随分としぶといな、流石はビアン総帥とマイヤー司令を屠った連中といったところか…だが!」
テンペストは言い終えると、次の動作に移行する。
「このクロスマッシャーで終わりにさせてもらう!」
ヴァルシオン改の腕から、赤青二色の粒子が螺旋状に絡んでいく。
「マズイ!」
マサキが声を上げる。
「…!」
ライトが無言のまま、かざされた腕の前にグランバインを飛ばした。
「邪魔をするなヒュッケバイン!」
「撃たせはしない。グラビティ・ウォール最大出力…。」
ライトは、機体前方に重力障壁を展開してクロスマッシャーの直撃を受け止める。
「…くっ…」
しかし、あれだけ高出力、高威力のものを凌ぎきれるはずもなく、余波で吹き飛ばされながら右脚部に直撃を喰らい、地に伏した。
「ライト!」
ブリットが叫んだ。
「まずはお前から葬ってやる。消えろ、凶鳥!」
テンペストの叫びとともに、ヴァルシオン改がディバイン・アームを振り上げた。
「ここまでか…」
ライトが口にした。その矢先。
光り輝く輪の刃が、ヴァルシオン改の右腕を斬り裂いた。
「何…!?」
テンペストは一度後退する。
「間一髪だな、シラヌイ。」
アダムのReapsがグランバインの肩を掴んでこちらも後退する。
「ええ、助かりました。」
ライトは例によって無機質に答えた。
破損箇所を確認すると、直撃を受けた右脚部は膝から先が消し飛んでいた。
「どうだシラヌイ?」
アダムが尋ねる。
「着陸は不可能ですが、テスラ・ドライブがあるので問題ありません。飛び続けさえすれば。」
ライトがコンソールを指で弾きながらグランバインを宙に浮かせた。
「上出来だ、そうでないと奴に笑われるぞ?」
「…ええ、それは避けたいところです。」
奴、即ち…猪。
「よう、ライト。待たせたな。アマテラス2、本当の意味で帰ってきたぜ。」
タカヤが微笑した。
「幽霊が蘇って猪になったか。…悪くない。」
ライトは、無表情だがどこか喜々とした声で答えた。
「そのビルトシュバイン…タカヤか?」
キョウスケが通信に入る。
「はい、先日の借りは、この戦闘で返させてもらいますよ!」
タカヤが力強く答えた。
「では、あてにさせて貰う。行くぞ!」
キョウスケがさらに重ねた。
「タカヤ!」「タカヤくん!」
ミナミとナナが通信に割り込む。
「ミナミ、ナナ…。行くぞ!!」
「「了解!」」
タカヤは一度通信を切り、両腕のサークル・ザンバーを起動した。
***
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