第一部「数奇なる騎士」
第08話「猪の叫び」
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ナミが言う。
「アマテラス5了解!それじゃ、行こう!」
「ああ。」
***
「…戦闘だってのに…」
艦内に警報が鳴り響く中、タカヤの病室禁錮は続いていた。
「クソッ…」
タカヤは悔しさを紛らわすかのように天井を仰ぐ。
傷は癒えている。
もう戦える。
だが、タカヤも分かっていた。
――機体がない。
先の戦闘で、自分のゲシュペンストを事実上失ってしまった。
「…ははっ…」
自嘲気味に笑う。
そこへ
「ハスナカ。」
「!?」
思わぬ来客だった。
「ア、アダム中尉…!」
ドアを開け、アダムが入って来る。
「調子は…その様子では問題なさそうだな。」
「はい…」
タカヤは力なく答える。
「…今すぐに行って自分も戦いたい、か?」
「…はい。」
タカヤの返答を聞くと、アダムはふっと笑って立ち上がった。
「パイロットスーツに着替えて格納庫に来い。プレゼントだ。」
「えっ…!?」
タカヤはあまりの驚きに立ち上がった。
「早くしろ、戦闘は始まっている。」
「は、はいッ!」
***
「来たか。」
アダムがタカヤを待ち受けていた。
「はい。」
タカヤが力強く返事をした。
「こいつだ。」
そう言ってアダムは、聳え立つその機体に目を向ける。
「ビルトシュバイン!」
タカヤは、歓喜の混じった声を上げた。
「イングラム少佐にダメ元で頼んでみたが…案外頼んでみるものだな。」
アダムが笑い、続ける。
「サークルザンバーを二基、それとアーマーブレイカーを拝借した。謂わば格闘・白兵戦特化型PT。…お前好みな1機だ。」
「…すげぇ…」
タカヤが歓喜のあまり呟く。
「お気に召したか?なら早く行くぞ。シラヌイ達…何よりツキタニを待たせるな。」
「ミナミ…。はい!タカヤ・ハスナカ曹長、出撃します!」
そう言うとタカヤは、新たな自分の愛機に乗り込んだ。
「ビルトシュバイン…必要な技量は教導隊…。乗りこなしてみせる!」
タカヤはヘルメットを被り、パンと拳を叩いた。
機体はカタパルトにセットされ、発進シーケンスに入った。
「アマテラス2!発進する!!」
猛々しい声とともに、猪が飛び立った。
***
港沿いの戦場。
テンペストの操るヴァルシオン改が猛威を奮っていた。
「クソッ!ダメージがうまく通らね
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