第百五十八話
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第百五十八話 姉からも
赤音の姉の葵もだ、妹にこう言う。
「赤音ちゃん、本当にね」
「うん、もう二度とよね」
「虫歯になったら駄目よ」
こう言うのである、時々であるが。
「さもないとね」
「またなったらね」
「今度は永久歯だからね」
それでというのだ。
「もう治らないから」
「そうよね、もう絶対にね」
「歯は本当に大事だから」
まさにそれでだというのだ。
「私も気をつけてるし」
「一回虫歯になってね」
その時のことをまた思い出した赤音だった、そして思い出しただけで顔が苦いものになってしまう。虫歯の痛みも思い出して。
「痛かったし」
「そういう思いしたくないでしょ」
「絶対にね」
「それならね」
「歯を磨くことね」
「お口の中はいつも綺麗によ」
それは絶対だというのだ。
「いいわね」
「わかってるわ、もう私の歯はね」
それはというと。
「全部生え替わったから」
「永久歯にね」
「それならね」
余計にだった。
「大事にしてね」
「朝御飯の後磨いて」
「寝る前にもね」
「そうしてね」
そのうえで、というのだ。
「二度とならないから」
「逆に言えば虫歯になったことはね」
葵はあえて赤音に厳しく言った、妹に優しい彼女だがこのことは違っていた。
「忘れないでね」
「あの痛みも」
「そうしてよ」
「自分に言い聞かせるのね」
「もう二度と虫歯にならないってね」
「注意してね」
また言う姉だった。
「わかったわね」
「ええ、心からね」
「そういうことでね」
「うん、じゃあ今日も」
歯を磨くと答える赤音だった、そして実際に歯を磨くのだった。それが虫歯にならない一番いい方法とわかったからこそ。
第百五十八話 完
2014・8・8
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