21話 『抜け殻』
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ったかのようだった。
アイツが………力を失って仰向けに落下してくのが分かった。
オレは咄嗟にその場に駆け付けてアイツを背中から抱き留めた。
────その間にも火のカオスは氷剣アイスブランドと伴って完全に氷付き、独りでに音を立てて火のカオス諸共崩れ去り、蒸発していった。
火のカオス・マリリスは倒された。
けど、火のクリスタルの欠片は砕かれた。
それを司る者が火の源のクリスタルの祭壇に欠片を示さなければ、輝きは取り戻せない。
────[蛇眼の呪縛]から解き放たれたシファとビルが駆け寄って来た。
シファが、回復魔法をマゥスンに掛ける。何度も、何度も。
けどマゥスンは、オレに身体を預けたまま目を覚まさない。
まるで、何者にも邪魔される事のない、絶対の安息を得たかのように。
死んだ────死にやがったのか、オレに借りを作らせたまま。
シファとビルは、泣いていた。
オレは、ただ茫然としていた。
冗談じゃ、ねェ。
オレはまだ、お前の事、何も─────
………不意に、頭の中で声がした。聞き覚えが、ある。
予言者ルカーン、か?
────不測の事態に陥ったから、オレらをクレセントレイクの東の広場まで瞬時にワープさせるって……?
その前に砕かれた火のクリスタルの欠片を残らず集めろ、だと?
マゥスンは、死んだ訳じゃない─────
事情は広場の方で話す………?
勝手な奴らだ、今まで視てやがっただけのクセに。
シファとビルは、オレにマゥスンの傍に居てあげて欲しいと云って二人で火の欠片の破片を一つ残らず集め出した。
────オレはどこか放心したまま、抱き支えた意識のないマゥスンを見つめていた。
『火のカオスが倒された事によりその脅威は去ったが、火を司る欠片が砕かれた上に火の源のクリスタルの輝きは戻らず、
カオス失くしてもこのままでは遠からず火の源の力が暴走し、あらゆる地底から噴き上げる火柱が世界を焼き尽くし兼ねない』
12賢者達の力でオレ達はグルグ火山からワープさせられていきなり告げられた言葉………
今のオレらは、そンな話を聞きてェんじゃなかった。
『その者の[心]は今こちら側にはなく、<精神体>として異なる次元へと追いやられた″抜け殻″でしかない。
クリスタルの欠片を司る者にとって[精神の結合体]とも云えるそれを砕かれた反動により、
身体自体はこちら側に在るとはいえ辛うじて息をしているのみ』
………また訳の分かンねェ事ぐだぐだ抜かしやがって。
『砕かれた火の欠片の破片を渡して貰いたい。多少の時を要するが、我等で修
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