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藤村士郎が征く
第1話 別の世でも血生臭さからは離れられず裏の仕事に今日も勤しむ
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 この世界にも死徒は存在するし概ね間違ってはいないが、違う点があるとすれば吸血行為に対する部分が変化している点と言ったところか。いや、退化と言ってもいいかもしれない。

 話が少々ずれるが、この世界にも魔術基盤は存在するし魔術師も残っているはずだが、魔術は存在的にも学問としても衰退の一途をたどり、遂には“彼”のいた元の世界に比べて魔術師の数が一割にも満たないであろう位の数にまで減っているのがこの世界の魔術師の現状だった。
 そして、死徒とはほとんどが元魔術師である。

 そこで話は戻るが、上記での事で魔術師たちの血の薄まりが原因で例え死徒になっても、同じ存在にする事と兵隊にする事の二つが消え失せているのだ。
 しかしだからと言って危険と言う訳では無い。死徒は元とは言え魔術師だ。魔術師とは基本的に自分の事しか考えず、その過程で自身の魔術の成果でどれだけ周りの人間が犠牲になっても眉ひとつ動かさない人種であり、凶悪な犯罪者など可愛く思えるような下種外道である。

 そして、死徒となればその傲慢さはより膨れ上がり、元は同じ人間を餌位にしか思わず途中で吸血行為を止める事も出来るだろうが、大概の場合はそのまま血を吸いつくして殺すケースがほとんどだ。

 故に、発見して一度でもその行為に及んだものは即時処刑と言うのが死徒を知る者達の中での常識だった。

 そして今日も――――。

 「―――――糞が、糞が、糞が、糞がぁああ!!」

 今現在アメリカのとある州の廃墟周辺にて、一匹の使徒が怒りを孕んだ言葉で叫びながら全力で逃げていた。
 しかもその死徒、左腕が肘から先が切られている。現にその切り口を抑えて必死なようだ。

 「この俺がぁああ!あんな下等生物なんかにぃいい!!」

 自身の左腕を切り落としたここには居ない張本人に向けて叫んでいた。

 「と、兎に角、ここまでくれば奴も追ってこれまい。この後はこの腕の再生のためにもっと人間どもを鱈腹喰って、その後はあいつを八つ裂きにしてやるぜぇええ!」

 ヒヒヒヒ、と言う下卑た笑いを浮かべながら復讐を誓う死徒。しかしそんな未来は永久に訪れることは無い。
 何故ならば――――。

 ちゅどっぉおおおおおおん!!!!

 死徒がいた地点に突如何かが着弾して、そこに居た死徒は肉片が残っているかも怪しい位に消え失せた。

 そしてその“何か”を着弾させたものは18キロ先で黒塗りの弓を持っていた。


 −Interlude−


 「ふぅ、これで今日も終わりだな」

 その黒塗りの弓を持つ褐色肌の青年は、銀髪と赤いジャケットを模した聖骸布を風になびかせ悠然と立っていた。

 「お疲れ様です“若”」

 そして彼の傍に控え鞘に納めた日本刀を携え
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