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無欠の刃
下忍編
大切な物
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、サスケの体からみるみるうちに傷がなくなっていくが、しかし、カトナの手が突然止まる。

 チャクラが、たりないのだ。

 サスケを治療したくとも、それを治療できるほどのチャクラが無い。
 カトナのチャクラは、カトナ自身に施された封印式を維持するために無意識の内に消費されるように、体が勝手にプログラムされてしまっている。
 だから、カトナがどんなに欲しても、サスケを治療するほどのチャクラが補給されない。
 サスケの体が、少しずつだが熱を失っていく。

 「さすけ?」

 カトナの、子供のような声だけが響く。
 幼気な、汚れの無いあどけない声。
 事態が理解できず、まるで難しいことを突きつけられたように、カトナの頭はサスケが死にかけているという事実を理解しない。
 カトナが今理解している事実は、たった一つだけ。

 『なぜか、サスケが自分にもたれかかってきている』

 それだけだ。
 だからこそ、カトナには何故、サスケから血が垂れているのが理解できない。

 カトナ。
 と、かすれたこえでサスケが名を呼び、血だらけの手で、カトナの体を抱きしめて、盾になった。




 次の瞬間、サスケの体に、いく本ものセンボンが、突き刺さる。



 けれど、カトナには刺さらない。
 全てをサスケが庇い、全てをサスケが掴み取り、カトナには何も刺さらない。
 カトナの目が遅れて見開かれ、やっと、事態を理解した。

 「さす、け?」

 カトナの声に、彼は起き上がらない。
 彼は、何も返事をしない。

 「さすけ?」

 祈りを籠めるように、カトナは敵である人間の前で無防備に背中を晒しながら、自分にもたれかかっているサスケをゆする。
 サスケは、起きない。

 「仲間の死は、はじめてですか?」

 白が言う。しかし、カトナは何も返事をしない。ただ、サスケを揺らし続ける。何かを確かめるように、何を見失ったかわからないというように、カトナはサスケを揺らす。
 その無防備な背中めがけて、白は力を込めてセンボンを投げた。

 「隙だらけですよ!!」

 カトナの体に、センボンが近づく。
 カトナは振り向かない。サスケを見つめた目が見開かれ、そして動かなくなる。

 「さすけ?」

 へんじを、して。

 そんなかすれた声が上がった瞬間、カトナの首筋に、センボンが突き刺さり、血が、とんだ。
 赤い血が、彼女の首から滴り落ち、ばたりと、彼女の体が地面に崩れ落ちる瞬間。



 あかいものが、はじけた。



 さっ、サスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケサスケ、死んじゃダメ、死なせちゃダメ。

 不明瞭な思考が、ただ一人を思いだ
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