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101番目の舶ィ語
原作一巻 第0章 プロローグ
プロローグ3。ヤシロ
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げたが、白い少女は首を振って、さらに高く差し出してきた。

「ふふっ、はい。これはお兄さんの『Dフォン』だよ」

「ディー……フォン?」

「そう。運命を導く為の。そして運命から身を守る為のお兄さんだけの端末。だから……持っておいた方がいいよ」

「いや、それが本当でも一台で十分だろ?」

「だってお兄さん、一人じゃないでしょ?」

驚愕する俺を見つめ、言葉を続ける白い少女。

「きっとお兄さんを助けてくれるよ。多分だけどね」

「……わ、解った」

有無を言わせないほどの強い言葉に、俺は少女の手から二台の『Dフォン』を受け取った。
手に馴染む質感と、見ているだけで心惹かれるようなデザイン。
持っているだけで落ち着いてくる感触に、不思議と違和感は感じなかった。
確かにこれらは『俺達の』だと思えてくる。

「そのDフォンは、お兄さんと因果……縁みたいなものが繋がっているロアを探してくれるから。大事にしないとダメだよ?」

「……因果?ロア?」

聞き覚えがない言葉に首を傾げると彼女は説明してくれた。

「そう。コードを読み取る事でお兄さんを助けてくれるの。……試しに、そのDフォンのカメラで、あっちの人形を見てみて?」

少女の示す先には、さっきの人形があった。
俺は携帯のカメラを言われるまま、その人形に向けた。
直後。


ピロリロリーン♪

何かを読み取ったかのような音が鳴って、ハッと我に返る。

「な、なんだよ。今のは??」

「ふふふ。きっとお兄さんを助けてくれるロアだよ。もっとも……」

「もっとも?」

嫌な予感がして聞き返すと……。

「殺されなければだけど」

殺される……殺される?
少女の表情を見てわかった。
脅しや忠告じゃない。この少女は本当にただ純粋に、「殺されなければ助けてくれるかもね」と言っているだけなんだ。

「ど、どういう意味だ??」

「そのままの意味だよ。じゃあね?」

「待て!」

少女の手を掴もうとしたがするりとすり抜けてしまった。

「お前は一体……」

何者なんだ、と聞く前に彼女は笑ながら告げた。

「私の名はヤシロ。生きていたら『また』ね、お兄さん『達』っ」

「ヤシロ、ちゃん……か」

Dフォンを握りしめて呟くと、クスクスと笑って。

「ばいばい」

と小さく手を振り……










「モンジくん、モンジくーん?」

気づけば目の前に、七里先輩の顔が至近距離にあった。
どれくらい至近距離かと言うと、おでこで体温を測るくらいの距離くらいだ。
ちょっと顔を突き出せば「ちゅっ」とできてしまいそうだ。
マ、マズイ。
近い。
離れようとし
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