原作一巻 第0章 プロローグ
プロローグ3。ヤシロ
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
げたが、白い少女は首を振って、さらに高く差し出してきた。
「ふふっ、はい。これはお兄さんの『Dフォン』だよ」
「ディー……フォン?」
「そう。運命を導く為の。そして運命から身を守る為のお兄さんだけの端末。だから……持っておいた方がいいよ」
「いや、それが本当でも一台で十分だろ?」
「だってお兄さん、一人じゃないでしょ?」
驚愕する俺を見つめ、言葉を続ける白い少女。
「きっとお兄さんを助けてくれるよ。多分だけどね」
「……わ、解った」
有無を言わせないほどの強い言葉に、俺は少女の手から二台の『Dフォン』を受け取った。
手に馴染む質感と、見ているだけで心惹かれるようなデザイン。
持っているだけで落ち着いてくる感触に、不思議と違和感は感じなかった。
確かにこれらは『俺達の』だと思えてくる。
「そのDフォンは、お兄さんと因果……縁みたいなものが繋がっているロアを探してくれるから。大事にしないとダメだよ?」
「……因果?ロア?」
聞き覚えがない言葉に首を傾げると彼女は説明してくれた。
「そう。コードを読み取る事でお兄さんを助けてくれるの。……試しに、そのDフォンのカメラで、あっちの人形を見てみて?」
少女の示す先には、さっきの人形があった。
俺は携帯のカメラを言われるまま、その人形に向けた。
直後。
ピロリロリーン♪
何かを読み取ったかのような音が鳴って、ハッと我に返る。
「な、なんだよ。今のは??」
「ふふふ。きっとお兄さんを助けてくれるロアだよ。もっとも……」
「もっとも?」
嫌な予感がして聞き返すと……。
「殺されなければだけど」
殺される……殺される?
少女の表情を見てわかった。
脅しや忠告じゃない。この少女は本当にただ純粋に、「殺されなければ助けてくれるかもね」と言っているだけなんだ。
「ど、どういう意味だ??」
「そのままの意味だよ。じゃあね?」
「待て!」
少女の手を掴もうとしたがするりとすり抜けてしまった。
「お前は一体……」
何者なんだ、と聞く前に彼女は笑ながら告げた。
「私の名はヤシロ。生きていたら『また』ね、お兄さん『達』っ」
「ヤシロ、ちゃん……か」
Dフォンを握りしめて呟くと、クスクスと笑って。
「ばいばい」
と小さく手を振り……
「モンジくん、モンジくーん?」
気づけば目の前に、七里先輩の顔が至近距離にあった。
どれくらい至近距離かと言うと、おでこで体温を測るくらいの距離くらいだ。
ちょっと顔を突き出せば「ちゅっ」とできてしまいそうだ。
マ、マズイ。
近い。
離れようとし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ