第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十八 〜虎牢関〜
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「それもあります。他にも……」
「止さぬか」
私は、朱里の言葉を遮った。
「お前が必要でないなどと、いつ私が申した?」
「…………」
「いや、お前だけではない。閃嘩も、星も、禀も、風も、誰一人として欠かせぬ存在だ」
偽りを申すつもりはない。
その思いが通じたのか、朱里の表情から翳りが消えていく。
「私は決して全知全能ではない。寧ろ、欠点の方が多いぐらいだと思っている」
「そんな事は……」
「いや、ある。智ではお前達には敵わぬ。そして、武でもそうだ」
反論しかける二人を制して、私は続けた。
「決して謙遜しているつもりはない。皆の上に立つ者として、出来る事をする。それは私の責務と思っている」
「…………」
「だが、全てを一人で抱え込めばどうなるか……」
そう、私が嘗て辿った道。
あの時は信念に従っていたが、今にして思えば過ちも多々あった。
その為に、皆を巻き込む訳にはいかぬ。
「良いか。そのような事、二度と口にする事は許さぬ。そして、勝手に死ぬ事も許さぬ」
頷く二人。
「うむ。至らぬところは互いに補えば良い。それを忘れるな」
「はい」
「はっ!」
よし、迷いのない良い眼をしている。
さて、洛陽に戻るとしよう。
なすべき事は山積している。
月は死なせぬ、そして私も死なぬ。
改めて、そう心に誓った。
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