10話、寄り道
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。ゾンビなご遺体にすがりつこうとしたら止めるつもりだったが、未亡人は黙って泣き始める。
はっきり言って俺はどうしたらよいかわからない。仕方なく肩を抱いたら胸に飛び込んできた。名誉のために言っておくがいやらしいことは何もない。
「すみません」
しばらくすると未亡人は離れ、結婚指輪などの遺品を回収した。その後、他にも家族二体のご遺体を確認して同様に遺品を取った。
「残念ながらご遺体は引き揚げる前にここで燃やすつもりです」
「はい」
「お三方のご遺体は別に火葬しますが、お骨は明日にならないと拾えません」
「はい」
「では、ここを離れる前に身の回りの物を慶太に渡してください」
そう言って未亡人をご遺体から引き離した。
「早歩きを別にして火葬の準備は完了です。煙が出れば、敵をよぶかもしません」
俺は大佐にわかっていると頷いた。
「大佐。早歩き型も写真だけ取って一緒に火葬する。それと一号車ニ号車にトラックを一台つけて路上の遺体を回収させろ。火葬はここを完全に引き払う時にする」
「はい」
成果は上げているがなんだかんだで色々と時間を食い過ぎている。
時刻は午前十一時を回っていた。俺は土建屋の事務所で今後の行動について悩んでいた。自衛隊の基地まで行くつもりだったが、婦女子の保護と工場車両の確保により、一度研究所に帰るという考えも浮かんだ。
とはいえ夜までかなり時間がある。真っ昼間に県道から研究所に続く道に入ったら、深夜に出発した意味はなくなり、頭隠して尻かくさずになってしまう。
仕方ない。二手に分かれるか。何となく愚策のような気がするがアンドロイドの戦闘力を信じよう。
俺は五号車の四等兵五号、S3三体及び六号車のグスタフ少佐、四等兵六号、S3ニ体、金属マネキンM-27十ニ体、そしてハスキー犬ガルムを残して、工事車両と婦女子を守らせることにした。
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