神と罪
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呼んでいたのだ。
いつだってクロノを引っ張っていったあの声は、ずっと助けを求めていたのだ。
それに気付けないのはある意味では当然で、それでもクロノは気づけなかった自分が誰より憎たらしい。
(お前はずっとオレを呼んでたんだ。なのに、気づけなかった)
ミョルニルを握りしめる手が僅かに痛い。
その原因が強く握りしめすぎている事だと気づく暇も余裕も、今のクロノにはなかった。
頭の全てを占めるのは、黒髪の恋人の事だけ。
(コイツは…コイツ等は、オレが気づかなかったお前の死を見ていながら、止めなかった。お相子だよな。許さないとか、そんな事言っていい立場じゃない)
自分とジョーカーを天秤にかける。
フラフラと曖昧に揺れるそれは結果としてどちらにも傾かない。
気づかなかったクロノも、止めなかったジョーカーも、どっちも悪いのだ。
(だけど、それを解ってて何より腹が立つのは)
エインヘルヤルを消し去る。
戦場に立つのはミョルニルを構えるクロノと、7つの罪を操るジョーカー。後ろには、それを見つめる妖精の尻尾のメンバー達。
ここからは、誰の手も借りずに1対1で戦わなければならない―――――誰に言われた訳でもないが、クロノはそう思った。
それで初めて、自分とジョーカーを乗せた天秤がどちらかに傾く。
(コイツがナギの死に対して、罪悪感の欠片も抱いてない事だ!)
勝てる自信も根拠もない。
先ほど強欲によって奪われた魔力だって結構多かったし、体力的な意味での疲れもある。
どちらかと言えば負ける可能性の方が高いけれど、勝たなければならない。
あの本宅に閉じ込められた、最愛の妹の為に。
『大丈夫だよ!クロ君はやれば出来る子だから!動いた後に結果が追いついて来るのがクロ君なんだから、まずは動く事から始めないと!ねっ!』
そう言って笑った、恋人の為に。
クロノは力強く地を蹴ると、ミョルニルを振りかざした。
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