神と罪
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を降らせる。オレ達にまで被害が来ないように防いでんだよ」
そう言って顔を前に向ける。
誰もクロノの顔が見えなかった為に気づかなかったが、すぐにクロノの表情が少し曇った。指を鳴らしアスガルズを解除すると、先ほどまで威圧感たっぷりに佇んでいたスルトの姿がなくなっている。
上に向けていた視線を前に戻すと、右手をこちらに突き出すジョーカーがいた。
「怠惰で消させてもらったよ。流石に広範囲攻撃の火の雨を防ぐ手はないからね」
「奥の手の1つや2つ、隠してるモンだと思ったんだけどな」
クスッと笑い声を零すと、相手は眉を顰める。
確かにこの状況で笑うのは、些か不謹慎とも言えるかもしれない。お互いに真剣で、戦うべき理由があって戦っているのに笑うのだから。
が、クロノは笑みを崩さない。
笑みを崩したら負けだ。それは、余裕がない事の表れになってしまう。
(ま、余裕もへったくれも最初っからないんだけど)
相手は闇ギルドの人間、しかもギルドマスターだ。
職業上、相手にした事がない訳ではない。が、どんな時だってマスター相手には1番気を張るし、全力を出す。他の奴等に手を抜いている訳ではないが、自然と力が強まるのだ。
後ろにいる彼等よりは、ジョーカーのような奴の相手に慣れてはいる。が、それは慣れているだけであって、得意な訳じゃない。別に自分から“よっしゃー!オレに任せとけ!”と言えるほど、慣れている訳でもない。
ただウェンディ達より慣れている、というだけであり、本当なら部隊を引き攣れるか同職のラハール辺りを引っ張って来たいのだ。
(あーあ、やっぱし向いてないかなあ、評議院。よく言われるし)
書類の束と格闘していると逃げたくなるし、上司(主に評議員10人)と話すのも疲れる。
ラハールからも「お前はその性格でよく隊長になれたな」と苦笑交じりに言われるほどだ。確かにそうかもな、とは思う。書類と睨めっこするのはティアやクロスの方が得意で、どちらかと言えばクロノは外で戦いまくるタイプだ。
―――――――だけど。
(けど、アイツを殺した犯人を捕まえるまでは……)
アイツ。
その姿を、クロノは鮮明に思い出せる。揺れる黒髪。笑うように細められた瞳、色付く頬。特別整っている訳ではないが、どこか透き通るような魅力を持つ顔立ち。いつも淡い桃色の花飾りを頭に付けていて、いつも無理難題を押し付けてカラカラと笑う、恋人の姿。
『それじゃクロ君、あとお願いねっ!え?無理?大丈夫大丈夫!クロ君やれば出来る子なんだから、その気になれば電光石火でどうにか出来るはずっ!』
何の根拠もない事を言って、最後にはどこか悪戯っぽい満面の笑みで可愛らしくウインクを決めて。
所属するギルドが違っても、依頼先で会えばお互いの仕事を手
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